最新記事

米朝首脳会談

今だから振り返る、金正恩の残虐な犯罪の数々

Flamethrower Executions and Death Camps in North Korea

2019年2月27日(水)18時00分
カラム・パトン

北朝鮮の人民保安部副部長だった呉祥韓(オ・サンホン)が火炎放射器を使って処刑されたとされる報告についても姜は語った。「金正恩は個人的に彼を毛嫌いしていたため、あえて火炎放射器を使った処刑を命じた」。遺体は戦車に轢かれ、跡形もなくなったという。

2015年5月にはロイター通信が、北朝鮮の人民武力相の座にあった玄永哲が高射砲で処刑されたと報じた。韓国国家情報院(NIS)によれば、玄は金正恩が出席した行事の最中に居眠りをしたことによる反逆罪で、数百人の目の前で高射砲の射程内に立たされ、処刑された。

強制収容所

北朝鮮の強制収容所には10万人以上が衰弱した状態で収容されている。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは2017~2018年の北朝鮮に関する報告書で、北朝鮮にある4つの政治犯収容所すべてで「おぞましい」犯罪が行われていると指摘した。

2017年には、米ワシントンDCを拠点とする非政府組織「北朝鮮人権委員会」が、北朝鮮の再教育施設を含む大規模な強制収容所のネットワークをとらえたとする衛星画像を公開した。北朝鮮で秘密警察の役割を担う国家保衛省が運営するそれらの強制収容所は北朝鮮全域に広がり、郊外や山間部に大規模な建物があるのが分かる。

米紙ワシントン・ポストはその衛星写真を取り上げ、収容者たちが餓死寸前で過酷な労働を強いられていると報じた。彼らは言論や思想を理由に不当逮捕された「良心の囚人」だ。鉱山採石などの重労働を課す収容所もあれば、有害な化学物質を扱う革工場で働かせる収容所もあったという。

「収容所の衛生状態はひどく、食料も足りない。家族に食料を差し入れてもらえない収容者は、栄養失調が原因の病気で死ぬ確率が高い」と、北朝鮮人権委員会の報告書の中でデービッド・ホークは述べた。

(翻訳:河原里香)

※3月5日号(2月26日発売)は「徹底解剖 アマゾン・エフェクト」特集。アマゾン・エフェクト(アマゾン効果)とは、アマゾンが引き起こす市場の混乱と変革のこと。今も広がり続けるその脅威を撤退解剖する。ベゾス経営とは何か。次の「犠牲者」はどこか。この怪物企業の規制は現実的なのか。「サバイバー」企業はどんな戦略を取っているのか。最強企業を分析し、最強企業に学ぶ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4

ビジネス

ECB、12月にも利下げ余地 段階的な緩和必要=キ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中