最新記事

ブログ

「色んな人が、自分が描きたい沖縄像を言っているだけなんじゃないか」

2019年2月19日(火)18時40分
岡原功祐 ※Pen Onlineより転載

石戸さんが取材中「色んな人が、自分が描きたい沖縄像を言っているだけなんじゃないか」と言っていました。それは、語られる時にいつもパッケージ化されてしまう「沖縄」があることを意味しているようにも感じ、「ラプソディ」というタイトルをプッシュしたいと思いました。

コザのホテルのロビーでノートに言葉を書きなぐってタイトルを考えていた小暮さんに「ラプソディはどうですか? 僕のプロジェクトのタイトルでもあるので恐縮ですが...」と、提案。

ラプソディといきなり言われて分からない人もいるかもしれないけれど、ボヘミアン・ラプソディもヒットしたし、今ならその単語を見ても首をかしげずに雑誌を手にとってくれるのではないか。前述した、僕が個人のプロジェクトの撮影中に持った印象なども小暮さんに話し、「オキナワン・ラプソディとか?」なんて相談。

小暮さんが「それだ!!」というわけで、編集部に速攻連絡!

「クイーン??」(正確にはどんなだったか思い出せないけど、だいたいこんな内容)という返事が...

「違う!!!もっと深い意味があるんですよ!!」とツッコミを入れたくなる僕...。

その後、石戸さんも一緒に相談し、とりあえず3人の中では「オキナワン・ラプソディ」「沖縄ラプソディ」「Okinawan Rhapsody」とだいたいこの3つに落ち着きました。編集部でのやりとりがどうなったかは分からないのですが、「沖縄ラプソディ」英語で背景に「Okinawan Rhapsody」になったようです。

僕の中ではオキナワン(英語では、沖縄の人たちのことを Okinawan と呼びます)の方が、「沖縄の人たち(個人個人)」のラプソディとなるので、より方向性は合っていると思ったのですが、日本語で「オキナワン」と書いても表紙を見る人はピンとこないかもしれません。なので、結果的には日本語と英語の併記はベストの方法だったのではないかと思っています。カバー写真についても色々とアイディアが出ていましたが、最終的には僕が以前辺野古の海に潜って撮影した海中写真に。

記者の小暮さんとの取材では、取材の中で気づいたことを色々と相談できるので、ニューズウィークの仕事では、そんな面白さも経験させてもらっています。

そんな「沖縄ラプソディ/Okinawan Rhapsody」、記事は石戸さんによる5部構成の大作です。登場する人たちの声を生きている個人として拾い上げた、素晴らしいルポになっていると思います。終盤に出てくる、KI-YOさんのポートレイトは、二股に別れた道を背景に撮影させてもらいました。それは賛成か反対かに別れる道ではなく、彼が立っているのはそういった2択の先の未来。撮影しながらそんなことを考えていました。

石戸さんと小暮さん(と僕も末席に...)が、耳を傾けた「沖縄ラプソディ」多くの人に読んでいただけたら嬉しく思います。

※2019年2月26日号(2月19日発売)のニューズウィーク日本版は「沖縄ラプソディ/Okinawan Rhapsody」特集。基地をめぐる県民投票を前に、この島に生きる人たちの息遣いとささやきに耳をすませる――。ノンフィクションライターの石戸諭氏が15ページの長編ルポを寄稿。沖縄で聴こえてきたのは、自由で多層な狂詩曲だった。

[筆者]
岡原功祐/ドキュメンタリー写真家
1980年東京都出身。早稲田大学卒。南アフリカWITS大学大学院中退。人の居場所を主なテーマに撮影を続け、これまでに『Contact #1』『消逝的世界』『Almost Paradise』『Fukushima Fragments』の4冊の写真集を上梓。2008年度文化庁新進芸術家海外研修制度研修員。2009年には世界報道写真財団が世界中の若手写真家から12人を選ぶJoop Swart Masterclassに日本人として初選出。Photo District News が選ぶ世界の若手写真家30人にも選ばれる。また2010年には、IbasyoでW.ユージン・スミス・フェローシップを受賞。2012年、原発事故後の福島を撮影した作品でゲッティー・グラント、2014年にはコロンビアの作品でピエール&アレクサンドラ・ブーラ賞を受賞。同作品は、ライカ社100周年記念巡回展にも選出された。これまでに東京都写真美術館、クンスタール(ロッテルダム)、ケブランリー美術館(パリ)、C/Oベルリン(ベルリン)、ダイヒトールハーレン(ハンブルク)、バイエルン州立図書館(ミュンヘン)、アネンベルク写真センター(ロサンゼルス)、アパーチャー(ニューヨーク)など、各国の美術館やギャラリーでも作品が展示されている。
https://www.kosukeokahara.com
https://www.instagram.com/kosukeokahara
https://twitter.com/kosukeokahara

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

政策調整急がず、現状の金利は適切な水準=FRB副議

ワールド

OPECプラス8カ国、5月から日量41万バレル生産

ワールド

米関税措置で25年の世界貿易1%減、報復の連鎖を懸

ワールド

米関税「根拠ない」、欧州企業は対米投資中止を=仏大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 2
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のために持ち込んだ?
  • 3
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 6
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    ベトナム依存、トランプ関税でNIKEなどスポーツ用品…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中