最新記事

中国

Apple不振で解雇された台湾・鴻海従業員をHuaweiが雇用

2019年2月25日(月)16時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

ポータルサイト「sohu」には「アップルがいなくなった富士康は新しい"後ろ盾"を見つけた。華為(Huawei)は郭台銘に救命のワラを差し出したのか?」という記事が2月20日に掲載された。中国語でアップルは「苹果」と書く。従業員が新しい"靠山(後ろ盾)"を得て、職場で喜びに溢れる写真が載っている。

これに対して郭台銘総裁は、「華為は、追い込まれれば込まれるほど、勇敢に奮い立つ」と、台湾のテレビで述べている。

Huaweiにしてみれば、アメリカがHuawei排除を関係各国に呼びかける中、台湾の蔡英文総統(民進党)がHuawei排除を宣言したため、長年にわたってHuawei製品の製造を請け負ってきた台湾積体電路製造有限公司(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company=TSMC。略称:台積電)の南京工場などが大陸から撤退する可能性を警戒していたかもしれない。

そこで鴻海に目を付けたのではないかという見方も中国の情報にはある。

TSMCが中国大陸から撤退する可能性は低い

ただ鴻海にしたところで、これまでAppleのiPhoneを製造するに当たって、Appleが設計した半導体の設計図(理念設計)をTSMCが半導体として製造するという過程が間に入っていた。したがって鴻海もまた、TSMCを必要としている。そこにさらにHuaweiの業務が突然舞い込んできたのだ。そのような中、TSMCが南京工場を閉鎖して、大陸における業務を放棄してしまう可能性があるだろうか。

TSMCがHuaweiの半導体製造業務を受託しなくなるということは、鴻海がこれから担うHuawei製品の半導体製造の膨大な業務をも放棄することになる。AppleのiPhoneに関する業務は激減するので、そんなことをしたらTSMCは自分の首を絞めることになるだろう。

事実、今年1月15日、蔡英文政権は台湾工業技術研究院(元中華民国の中央行政省庁である経済部を発端とする財団)を通し、Huaweiのパソコンやスマホなどには安全上の問題があるとして使用を禁止したことに対して、元国民党政権で立法委員(国会議員)だった蔡正元氏は、蔡英文に対する抗議文を公開している

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ、鉱物資源協定まだ署名せず トランプ氏「

ビジネス

中国人民銀総裁、米の「関税の乱用」を批判 世界金融

ワールド

米医薬品関税で年間510億ドルのコスト増、業界団体

ワールド

英米財務相が会談、「両国の国益にかなう」貿易協定の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中