最新記事

韓国事情

文在寅大統領が「眠れない」と苦悩する韓国の大気汚染問題

2019年1月23日(水)18時30分
佐々木和義

文大統領と企業トップの会合で、具光謨(ク・グァンモ)LGグループ会長は2018年10月に空気科学研究所を立ち上げたと述べ、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長もエアコンや空気清浄器のための研究所を設立したと明らかにするなど、大気汚染に対応する商品開発の取り組みをはじめている。

政府に損害賠償を求める環境団体

韓国人は平時にマスクを着用する習慣はなかった。黄砂が舞う時期に見かけることはあったが、マスクを着用していると風邪でも引いたのかと尋ねるなど、数年前までソウル市内でマスクを着用して歩いているのは日本人くらいだった。

粒子状物質の深刻化を受けてマスクを着用する人が増えはじめ、2017年頃からフィルター交換式のマスクが人気となったが、今年に入って使い捨てマスクの需要が高まっている。

日本ではマスクは白というイメージが定着しているが、韓国では黒いマスクが若者を中心に広がっている。K-POPアイドルが、ファッションアイテムとしてつけたことがきっかけだ。

黒マスクは当初はファッションアイテムだったが、名古屋の製薬メーカー・アラクスが遠目で黒に見えるグレーのマスクを販売し、マスクメーカーのビー・エム・シーも黒マスクの販売を始めるなど、黒いマスクの需要が伸びており、韓国のECサイトには白いマスクと並んで、黒マスクが並んでいる。

粒子状物質による深刻な大気汚染が続くなか、政府に損害賠償を求める環境団体が現れた。同団体は粒子状物質の削減に失敗した政府が国民の被害を賠償すべきとして、韓国政府と中国政府を相手に各々300万ウォン(約29万円)を支払うよう求める訴訟をソウル中央地裁に起こしている。

ARIRANG NEWS

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米大使館、取引先にDEI禁止順守を指示 スペインな

ワールド

トランプ米政権、ハーバード大への助成・契約90億ド

ワールド

アルゼンチン貧困率、24年下半期は38.1%に急低

ワールド

豪中銀、政策金利据え置き 米関税の影響懸念
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中