トランプ政権発足から2年、守った公約、守っていない公約
Donald Trump at Two Years: Promises Made, Kept, Broken
石炭産業の救済
トランプは選挙戦で、石炭産業の雇用を取り戻すと公約した。アリゾナ州フェニックスで行った遊説では「アメリカの炭鉱労働者を職場に戻す」と述べ、その手段としてオバマ政権下で導入された地球温暖化防止のための環境規制を撤廃すると言っていた。
トランプ政権はこの2年、確かに石炭産業の再活性化を図ってきた。だが米エネルギー情報局(EIA)は昨年の石炭の消費量は前年比で4%近く減少し、1979年以来最低の水準とになるとの見通しを発表した。昨年の石炭需要はピークだった2007年と比べ44%も落ち込んでいる。
<参考記事>トランプは石炭の雇用を取り戻せない──嘘に気づき始めた労働者たち
オバマケア撤廃する
トランプは大統領選でオバマケア(医療保険制度改革)の撤廃を公約した。オバマケアはすべてのアメリカ人に医療保険への加入を義務づけ、これまで無保険だった人々も医療を受けられるようにすることを目指す施策だった。
2017年12月に成立した共和党の税制改革法案には、医療保険未加入の個人に対する罰則を2019年に撤廃することが盛り込まれた。共和党はまた、一部の補助金をなくすなどしたが、オバマケアの全面的な撤廃には至っていない。
昨年12月にテキサス州の連邦地裁が、医療保険加入の義務化は「切り離すことのできない」オバマケアの一部で、ゆえにオバマケアは違憲だとの司法判断を下した。だが最高裁判所に上訴されたことで、法律は今も手つかずのままだ。
中流向けの減税はまだ?
トランプは法人税率の引き下げとともに、勤労者階級向けの大型減税を約束した。
2017年12月に成立した共和党の税制改革法案はトランプの公約実現の1例とされた。だが、公約では法人税率をを35%から15%まで引き下げると謳っていたのに対し、実際には21%にしかならなかった。そして、この税制改革の恩恵を最も受けるのは富裕層だ。
(翻訳:村井裕美)
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