ミシェル前大統領夫人が告白した「インポスター症候群」って何?
英国の精神科医マックス・ペンバートン医師はその理由について、「女性は伝統的に、自分は劣っており権利もないと感じるように思い込まされてきたから」だと英デイリーメール紙に書いている。そのため権力のある立場に就いたり成功を手に入れたりすると、「何かの間違いだ」と思ったり、「単に運がよかった」と感じてしまうのだ。
とはいえ現在は男女に関係なくインポスター症候群にかかることが分かっており、ペンバートン医師は「男性は(自分がインポスター症候群だと)認めることが少ない」と指摘している。
7割の人が人生のどこかでこの症状に悩む
実はこのインポスター症候群、かかるのは何も成功を手に入れた人だけとは限らない。米CBSニュースは、2013年の調査で、70%の人が人生のどこかでインポスター症候群になることが分かったと伝えている。また英インディペンデント紙によると、2017年の調査では、ミレニアル世代の3分の1がインポスター症候群になっていた。
とはいえ、アメリカ精神医学会の診断・統計マニュアルDSM-5には掲載されておらず、インポスター症候群は正式な精神疾患という扱いはされていない。しかしこの症状があるという事実は、心理学の分野の人たちから広く認められているようだ。サイコロジー・トゥデイにも、うつ病や不安障害に発展する可能性を指摘する記事が2016年に掲載されていた。
正式な病気と認められていないということは、治療法もないということになってしまう。しかし前述のペンバートン医師はデイリーメール紙に寄稿した記事の中で、この状況を脱するための方法をいくつか提案している。
人は、他人のことは大目にみてあげたりするのに、自分自身には厳しいハードルを設けてしまいがちだ。なので、自分にももっとやさしくしてあげよう、とペンバートン医師は言う。
また、もし誰かが自分や自分の仕事ぶりを褒めてくれたら、そのたびにメモに書き記しておこう。そして1週間の終わりに、それを読み返すのだ。友達が同じメモを作ったと想像してみよう。友達が見せてくれたそのリストを「買いかぶりすぎ」と思うだろうか? それとも、友達はそのリストを素直に受け止めた方がいいと思うだろうか? 素直に受け止めた方がいい、と思えれば、インポスター症候群から立ち直る一歩を踏めている。自分の成功を楽しもう、とペンバートン医師は書いている。
インポスター症候群とは。どうやって打ち勝つ? - Elizabeth Cox:TED-Ed