APEC閉会したパプアで軍兵士や警察官ら300人が国会襲撃! 目的は警備手当の支払い
APECの警備を担当した軍兵士や警察官が警備特別手当の即時支払いを要求して国会を襲撃した ABC News (Australia) / YouTube
<米中が通商政策で対立、史上初めて首脳宣言を採択することなく閉幕した今年のAPEC。開催地のパプアニューギニアでは閉幕後も混乱が続いた>
11月17〜18日に「アジア太平洋経済協力会議(APEC)」を開催したパプアニューギニアの首都ポートモレスビーで20日、APEC期間中に警備の任に当たった同国の警察官や軍兵士が国会議事堂に押しかけ、ガラスを破るなどして乱入する騒ぎを起こした。
政府が支払いを約束したAPEC警備特別手当「350キナ(約104米ドル)」が予算不足から減額される可能性が伝えられたことや一部で支払われないとの噂が流れたことが原因とされ、警察官や兵士約300人が「警備特別手当の即時支払い」を要求して警察長官と面会したものの、納得できる回答が得られなかったため、国会に大挙して押しかけたという。
現地からの様子を伝える地元紙やオーストラリアのテレビ局などによると、国会前の道路には数百人の警察官と兵士が集まり、道路を封鎖する一方で、ガラスを破壊して国会内部に乱入、国会警備を脅しす一方で国会の備品や家具を破壊した。乱入当時国会内には閣僚や議員などがいたというが、これまでのところ負傷者などは報告されていないという。
警察官や兵士はピーター・オニール首相との面会を求めたものの、面会は実現しなかったという。
パプアとして初の大規模国際会議主催
東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国や日米中など21の国や地域の首脳クラスが参加して行われたAPECは、加盟国内で最貧国とされるパプアニューギニアにとって初めて大規模国際会議のホストを務める一大イベントだった。
ポートモレスビー市内には各国の代表団やメディアを収容する宿泊施設が絶対的に不足していたため、大型客船を手配して国際会議場の近くに停泊させ、そこを宿泊施設に当てることで乗り切った。
主会場となった国際会議場に参加首脳が乗りつける高級乗用車も絶対数が不足していたため、政府は1台約15万ドル(約1700万円)もするイタリア製マセラッティを40台、急きょ購入して対応した。
こうしたAPEC開催のために多額の費用が支払われたことに対し、貧困にあえぐ一般市民や低賃金待遇の警察官、兵士が政府への不満を高めていたことも国会乱入の背景にあるとも指摘されている。
さらに路上強盗や窃盗、暴力行為が日常茶飯事といわれ、域内で最も治安が悪い首都とされるポートモレスビーだけに、APEC期間中の治安維持には自国の警察、軍だけではなく、APEC参加国でもある近隣のオーストラリアやニュージーランドから約2000人の兵士が応援に駆けつけ警戒警備に当たった。
国際会議場周辺にはオーストラリア、ニュージーランド両国軍の兵士を加えた大規模な警備態勢が敷かれ、海上や上空を警戒する船舶やヘリコプターがものものしく動き回っていたという。