APEC閉会したパプアで軍兵士や警察官ら300人が国会襲撃! 目的は警備手当の支払い
会議は終わったばかり、手当は手続き中
国会に警察官や兵士が押しかけるという異常事態にパプアニューギニア警察の報道官は「事態は完全に警察のコントロール下にあり、問題はない」と警察が通常に対処していることを強調しているものの、国会前に押しかけた警察官や兵士の人数など詳細については明らかにすることを避けた。
さらに同国APEC事務局は「会議は18日に終了したばかりで残務が山積している。特別手当などは現在手続きが進行中で、終了後1週間をメドに支払われる」と豪ABC放送に対して明らかにしている。
参加国も準備にあたふた
今回のAPEC、準備に奔走したのは開催国に留まらない。ジョコ・ウィドド大統領がAPECに参加したインドネシアは、大統領用の乗用車を確保することに苦労したという。
当初はパプア政府からマセラッティの供与が伝えられず、自前で大統領専用車を調達する事態となったが、ポートモレスビー市内のレンタカー、自動車販売会社はすでに予約済みか売却済みで、最終的に日本から高級乗用車を緊急輸入することに踏み切らざるを得なかったという。
最終的にはパプア政府からウィドド大統領のため首脳専用車が用意されたが、随行員や関係者用の車が不足し、ポートモレスビーにあるインドネシア大使館の館員の乗用車などを総動員してなんとか切り抜けることができたという。
とにもかくにも開催国のオニール首相にとってはAPECという大国際会議を応援の警備陣や客船ホテルなどで無事終了させることができたものの、会議では米中の貿易摩擦を巡る攻防から恒例の首脳宣言の採択が見送られる残念な結果となった。そのうえ自国の警備陣からは特別手当支払いを突き上げられ、オニール首相にとっては「試練」の会議開催となった。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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