米国でミレニアル世代を中心に「魔女」が急増中、その理由とは
フェミニズムと魔女
英語で魔女を指す「Witch」という言葉は、時に魔女を表すだけでなく、女性を蔑む時にも使われる。しかし逆に、自らを魔女だと名乗る人たちは、それに対抗するかのようにフェミニストであることが多い、とクオーツは指摘する。
ヨーロッパのニュース専門チャンネル、ユーロニュース(電子版)は、トランプ大統領に対する反対運動や、性暴力被害を告発する動き「#MeToo」(私も)に触発されて、魔術を始める人が米国の若い世代の女性に多い、と伝えている。
17世紀に「セイラム魔女裁判」と呼ばれる魔女狩りが行われたマサチューセッツ州セイラムは現在、「ウィッチ・シティ」(魔女の街)と呼ばれている。そこで魔女として活動しているという女性はユーロニュースのインタビューに答え、「魔女は、ドナルド・トランプのような男性が恐れる存在」だと述べ、反トランプ運動に最適なシンボルだと語っている。ユーロニュースはさらに、米国の若い世代での宗教離れが魔女人気の高まりを後押ししていると指摘する。
英国のファッション雑誌グラシア(電子版)は2016年7月の記事の中で、宗教よりもスピリチュアルなものを信じ、ハリー・ポッターを読みながら育った世代でもあるミレニアルズたちにとって、伝統や保守的な考えに対抗する1つの表現法が魔女や魔術なのだと説明している。
ファッションとしての魔女
最初に魔術や魔女に興味を持ったのは、インスタグラムなどのソーシャルメディアだった、という人も多いようだ。魔女界のインフルエンサーとも言える「Hoodwitch」は、インスタグラムのフォロワー33万人以上を誇る。
また、インスタグラムで「#witch」(魔女)のハッシュタグを探すと、640万件以上ヒットする。こうした「ファッション」の部分も若い女性に人気の秘密のようだ。
ただし、単なる流行と考えて適当に乗っかると、痛い目にある可能性がある。クオーツによると、こうした魔女のトレンドを商機と見たフランスの化粧品メーカーのセフォラが、今年10月から米国で「魔女スターター・セット」を販売しようと計画していた。香水やタロットカード、ハーブなどが9点入ったボックスセットだ。しかし魔術を宗教として実践している人たちを矮小化しているとの批判を集め、自称「魔女」たちもSNSでセフォラ商品のボイコットを呼びけるなどして炎上。同社は謝罪するとともに、同商品の製造と販売を中止すると発表するに至っている。