最新記事

日韓関係

旭日旗は「腫れ物」扱い? 自衛艦の旭日旗掲揚を韓国が自粛要請 

2018年10月3日(水)16時00分
内村コースケ(フォトジャーナリスト)

自衛艦の旭日旗掲揚を韓国が自粛要請 REUTERS/Toru Hanai

<韓国が今月10〜14日に開く国際観艦式で、参加する日本の艦艇に自衛艦旗である旭日旗を掲げないよう、求めている。これに対し、日本側は拒否の姿勢を示しているが、韓国側がそれに対し、さらに反発を強めるという悪循環に陥っている。アジアの外に目を転じても、海外の著名人らが旭日旗をモチーフにしたファッションなどで韓国世論の非難を浴びるケースが後を絶たない>

韓国与党「旭日旗を掲げているのは二等国の証」

「戦犯国として世界の平和を一瞬にして壊し、数えきれないほど殺傷行為を犯した日本が旭日旗を誇っているのは、日本が永遠に二等国家にとどまるしかない理由でないか」。韓国与党・民主党のパク・ギョンミ院内報道官は、日本側が自衛艦旗の掲揚自粛の要請を拒否したのを受け、激しい日本非難の声明を発表した(韓国・中央日報)。

韓国政府は10〜14日に済州島で開く国際観艦式で、自国の国旗と太極旗(韓国の国旗)だけを掲揚するよう、各参加国に異例の要請を行っている。これは事実上、日本を意識した要請で、旭日旗を自衛艦旗(軍艦旗)として用いている自衛艦に対し、旭日旗の代わりに通常は軍艦には使用しない国旗=日章旗を掲げることを求めるものだ。

主要参加国アメリカは国旗である星条旗をそのまま軍艦旗として掲揚しているものの、他のほとんどの海軍は、民間船と区別するために国旗と異なる軍艦旗を用いている。軍艦旗は通常船尾に掲げられ、船首にはまた別の「国籍旗」を掲げる国もある(日本は自衛艦旗=軍艦旗のみ)。韓国海軍の報道官は、要請にあたり「海軍は旭日旗に対する国民の憂慮を解消するために努力している」と説明している(朝日新聞)が、見方を変えれば日本の自衛艦に旭日旗を降ろさせるために、世界中の海軍を巻き込んでいるとも言える。

国際法よりも韓国世論の「感情」を優先すべき、と韓国メディア

こうした韓国側の要請を、日本は拒否する姿勢だ。小野寺五典防衛相は9月28日の記者会見で、「自衛艦旗の掲揚は自衛隊法などの国内法令で義務づけられている。国連海洋法条約上も、国の軍隊に所属する船舶の国籍を示す『外部標識』に該当する」と強調。従来通り旭日旗を掲げる方針を示した(産経新聞)。また、海上自衛隊幹部は、同紙の取材に対し、「国籍を示す自衛艦旗は国の主権の象徴でもある。『降ろせ』というのは非常識かつ礼儀を欠く行為で受け入れられない」と不快感を示している。

日本政府は今のところ、この「断固拒否」の姿勢を崩していないが、過去には韓国に"忖度"した例もある。2016年5月から6月にかけて済州島沖で行われた日米韓豪などの合同海軍演習「パシフィック・リサーチ2016」では、旭日旗を掲げた自衛艦に対する韓国世論の反発を受けて、参加6ヶ国全ての艦が予定していた済州島への入港を取りやめた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

2月完全失業率は2.4%に改善、有効求人倍率1.2

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア

ビジネス

アーム設計のデータセンター用CPU、年末にシェア5

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中