最新記事

核戦争

米「INF全廃条約」離脱なら、新たな核軍拡競争に火が付く

Russia to 'Restore Balance' if U.S. Quits Missile Deal

2018年10月23日(火)14時10分
トム・オコナー

イギリスのギャビン・ウィリアムソン国防相はフィナンシャル・タイムズ紙に対して、イギリスとしては「条約が維持されることを望んでいる。それには双方の当事者による努力が必要だが、現在は一方がそれを放棄しようとしている」と語った。

ロシアはさらに断固たる反応を示した。ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は10月20日、INF全廃条約は「国際的な安全保障と核兵器の分野における安全保障、戦略的な安定の維持のためにきわめて重要」なものだと主張。アメリカが離脱すれば「軍事技術面」での報復合戦につながりかねないと警告した。

INF全廃条約の締約国ではなく、ロシアとの軍事協力を強化しつつ独自の軍備増強を進めている中国も、トランプの離脱方針に反対を表明。中国外務省の華春瑩報道官は10月22日の記者会見で、同条約は「国際関係を円滑にし、核軍縮のプロセスを前進させ、世界の戦略的なバランスや安定を維持する上で重要な役割を果たしてきたし、現在も大いに意味があるものだ。一方的な離脱は多方面にマイナスの影響を及ぼすことになる」と指摘。

さらに「離脱する理由として中国を挙げるのは、完全な誤りだということを強調したい」とも主張。「長年努力して築いた成果を関係国が尊重し、対話や協議を通じて条約に関する問題に慎重かつ適切に対処し、条約からの離脱を考え直すよう願っている」と語った。

ボルトンは10月22日に訪露し、23日までにセルゲイ・ラブロフ外相やウラジーミル・プーチン大統領とこの問題について討議する。

(翻訳:森美歩)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:FRB悩ますトランプ氏の政策と債券利回り

ビジネス

トランプ氏、マスク氏によるTikTok買収の可能性

ビジネス

独アディダス、2024年は黒字転換 第4四半期好調

ビジネス

ソフトバンクなど3社、米AIに最大5000億ドル投
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 7
    トランプ新政権はどうなる? 元側近スティーブ・バノ…
  • 8
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 9
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 10
    米アマゾン創業者ジェフ・ベゾスが大型ロケット打ち…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中