銃所有率全米トップのテキサスに変化 規制強化の民主候補を支持する共和党員も
変化する意識
米国における銃規制への支持は揺らいだり流動的だったりしてきたが、近年では、全米で規制強化への支持が増えていることが世論調査で示されている。米国の成人を対象にしたギャラップの昨年10月の調査では、銃の販売に関連する法規制の強化を支持すると答えた回答者は67%と、1993年以降で最大となった。
ロイター/イプソスが今年行った全米調査では、テキサス州でも同じように銃規制強化への支持が拡大していることが分かった。それによると、成人の3分の2が「厳しい」または「適度の」銃規制や制限を支持すると答えた。
だが、キニピアック大が5月に行った世論調査では、銃規制の問題を巡り、テキサスでは両党支持者の間で依然として大きく意見が分かれていることが示された。同州の共和党員の70%が銃規制強化に反対と答えたのに対し、民主党員では79%が支持すると答えた。
11月の選挙で勝利するには、オルーク氏は民主党支持者を大挙して投票所に向かわせる必要があると、バージニア大のスケリー氏は分析。銃規制の問題を使えば、党の支持基盤を動員できるかもしれないと話した。
テキサス出身の共和党ストラテジスト、フォード・オコネル氏は、オルーク氏の訴えは銃所有者のほとんどに響かないとみている。
「この問題がオルーク氏を有利にしているとは思わない。彼の支持基盤には有効だろうが、クルーズ氏を有利にする部分の方が大きい」
オルーク氏の主張が、クルーズ氏の資金集めを容易にしたのは確かだ。選挙資金調査団体「責任ある政治センター」によると、今回の選挙戦で、クルーズ氏が銃擁護団体から受けた寄付は計4万2000ドル(約470万円)と、候補者の中で最多となっている。
「転げやすい坂道」対「常識」
クルーズ氏は選挙戦で、銃の権利擁護を強く訴えている。
ヒューストン近郊のバーベキューレストランに立ち寄ったクルーズ氏は、全米ライフル協会(NRA)から受けた低評価を自慢するオルーク氏をあざけってみせた。その後、クルーズ氏は、今年5月に起きた銃撃事件で10人が死亡したサンタフェ高校にほど近い、ケイティの町にある自身の母校に立ち寄りスピーチした。
そして、銃の訓練を受けた教師には、教室内に銃を持ち込むことが認められるべきだと述べた。
「銃を持った悪人を止めるのに一番有効なのは、銃を持った善人だ」と、クルーズ氏は訴え、喝采を浴びた。
サンアントニオ近郊で狩猟ビジネスを共同経営するバレリー・ヘルナンデスさんは、そんなクルーズ氏の主張に共感する。ロイターが今回の取材で話を聞いた、20人以上のテキサスの銃愛好家の1人だ。
「これは転げ落ちやすい坂道だ」と、ヘルナンデスさんはオルーク氏の銃規制の主張について話した。「彼は、銃の権利を少しずつ取り上げ、最終的にはわれわれの銃を取り上げるだろう」
そうしたオルーク氏に対する批判は「まったく的外れだ」と話すのは、ブライアン・キングさん(29)だ。キングさんは熱心な狩猟愛好家で、ライフルや散弾銃、拳銃を所有している。
2016年の米大統領選ではトランプ氏に投票したキングさんは、今回の選挙ではオルーク氏支持に傾いている。
攻撃用銃器の販売禁止は好ましくないと思うものの、市民の銃を持つ権利を守ることよりも、学校や公共の場の安全を守ることの方に関心を寄せているのがその理由だという。
「常識的な範囲の銃改革なら、喜んで支持する」と、キングさんは話した。
(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)
[カリーゾ・スプリングス/ケイティ(米テキサス州) 19日 ロイター]