最新記事

投資

暴落しても人気衰えぬトルコリラ 個人投資家が支持、東京市場で主要通貨入り

2018年9月15日(土)10時03分

建玉が再び急増

8月10日、個人投資家に衝撃が走る。対立する米国との協議が物別れに終わり、トランプ米大統領が追加関税の発動を表明したことで、リラは対円で19%急落。01年の変動相場制移行後で最大の下げとなり、20円台から16円台まで落ち込み過去最安値を更新した。

個人の間では、急落で損失確定に伴う巨額の強制売りが発生。週明け13日にかけて証拠金業者の間では買い持ちから売り持ちを差し引いた建玉が激減。多くの会社で3割超、一部では7割近い建玉が一気に決済される異常事態に陥った。「リラ相場を急変させた一因は、間違いなく日本の個人の取引」(別の証拠金会社関係者)という。

しかしその後、トルコ当局の相次ぐ政策対応が奏功し、リラは16日に19円台へ反発。中銀による流動性供給策もあり下値不安がいったん後退し、個人が再びリラを買い増す動きも出始めた。

FX最大手のGMOクリック証券では、建玉が急減した8月下旬の水準から1カ月近くで再び倍増。「投機性が強く経験値の高い顧客が多いようだ」(デリバティブ部長の及川昌弘氏)とされ、同社内でのリラ/円の取引金額は急落後も以前と変わらず上位に食い込むという。

トルコ中銀の大幅利上げを受けてリラが急上昇した13日の海外市場では、上昇局面では個人の逆張りの売りと追随の買いが激しく交錯。「普段の3倍近い取引高」(GMOの及川氏)となり変わらない人気ぶりを印象づけた。

歯止めがかからないリラ人気に、FX業界内からも困惑の声が上がる。トレイダーズ証券市場部長の井口喜雄氏は「トルコは対米関係の改善が明確にならなければ上昇トレンド入りは難しい。今後も下落する可能性があると理解した上でしっかりリスクコントロールをして欲しい」と訴えている。

(基太村真司 編集:伊賀大記)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20241203issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年12月3日号(11月26日発売)は「老けない食べ方の科学」特集。脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす最新の食事法。[PLUS]和田秀樹医師に聞く最強の食べ方

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国スタートアップ、IPO凍結で投資家の償還請求に

ビジネス

米国債価格が上昇、財務長官にベッセント氏指名で

ワールド

プラスチック条約、最後の政府間議始まる 米の姿勢変

ビジネス

米財務長官指名のベッセント氏、減税と関税が優先事項
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中