最新記事

英EU離脱

ブレグジット支持の英保守党員に高まる不満 メイ首相への反旗広まる

2018年9月13日(木)10時51分

ブレグジット後

全国的な世論調査では、保守党と野党・労働党の支持率は拮抗(きっこう)している。一方で、スカイ・データが8月発表した調査によると、保守党支持の有権者の59%がブレグジット交渉におけるメイ首相の仕事ぶりに満足していない。

メイ首相の後任として挙がっている1人に、ジョンソン前外相がいる。ジョンソン氏はチェッカーズ案がまとまった後に外相を辞任し、積極的に同案に反対する活動を行っている。

一般の保守党員の多くにとって、2016年のEU離脱キャンペーンで主導的役割を担い、ユーモアと一般人の感覚を持ち合わせたジョンソン氏は理想の後任として映る。

南西部サマセットの地方議員であるジョン・ソーン氏は、メイ首相の退陣を望み、ジョンソン氏を支持している。

「ボリス(・ジョンソン氏)は人々に愛されている。パブで一緒に1杯やれるような男だ」と同氏は語った。「彼ならブレグジットをやり遂げられるという自信がある。彼は一般大衆の言葉を話す」

ロイターが取材した党員の圧倒的多数は、たとえメイ首相が3月までにブレグジットを成し遂げることができたとしても、彼女に未来はほとんどないと考えていた。

デービッド・キャメロン、ジョン・メージャー、マーガレット・サッチャーという歴代保守党政権の指導者も、欧州での英国の役割に手を焼いた。

現在、サッチャー元首相を懐かしむ人もいる。ビーコンズフィールドのバーベキューに参加したグラスさんもその1人だ。

「メイ首相がもう少しマギー(サッチャー氏の愛称)のようだったら、EUに乗り込んでこっぴどくやっつけたのに」と、グラスさんはソーセージが焼ける煙が立ち上る中、傘の中でにこやかに振る舞いながらこう述べた。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

Andrew MacAskill and William James

[ビーコンズフィールド 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ住民の50%超が不公平な和平を懸念=世論

ワールド

北朝鮮、日米のミサイル共同生産合意を批判 「安保リ

ビジネス

相互関税「即時発効」と米政権、トランプ氏が2日発表

ビジネス

EQT、日本の不動産部門責任者にKKR幹部を任命
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中