最新記事

アメリカ大統領

ウッドワードが新著で暴いたトランプの無能

Six Best Quotes From Bob Woodward’s New Trump Book

2018年9月6日(木)18時00分
ハリエット・シンクレア

偏らない公正な報道で知られるウッドワード  Jonathan Ernst-REUTERS

<ウォーターゲート事件を暴いたことで知られるジャーナリストが書いたトランプ暴露本は反トランプの決定打になるか>

調査報道で知られるジャーナリスト、ボブ・ウッドワードの新著『恐怖 ホワイトハウスのトランプ(仮題)』Fear: Trump in the White Houseは発売前からワシントンに激震を起こしている。ドナルド・トランプ米大統領は「嘘といんちきの情報源」に基づいた本だと主張。ホワイトハウスは「大統領のイメージを悪くするためのでっち上げ」の寄せ集め本だと決めつけた。

ウォーターゲート事件のスクープで知られるウッドワードはこれまでも歴代の大統領に関する著書を発表している。ワシントン・ポスト紙が公開した録音記録によると、ウッドワードは電話でトランプに、この本が事実に基づくものであり、政権にとって「厳しい」内容であることを事前にはっきり伝えている。

9月11日に刊行される同書の一部をのぞいてみると──

「ここは狂っている。何のために自分たちがここにいるのか、さっぱり分からない」

ジョン・ケリー大統領首席補佐官が言ったというこの言葉、ホワイトハウスのスタッフたちのジレンマを伝える言葉として、既にオンライン上で盛んに引用され、注目を集めている。ケリーは米海兵隊の元大将。トランプがクビにしたラインス・プリーバスの後を継いで首席補佐官になったが、今の職務は「これまでに経験した最悪の仕事」だとこぼしているという。

【関連記事】ホワイトハウス内にレジスタンスの動き?匿名の高官がNYTに暴露

「第3次世界大戦を防ぐためです」

ケリーは今年4月にも、職員の前で大統領を「バカ」呼ばわりしたと報道されて、火消しに躍起になった経緯がある。

ウッドワードによれば、前任者のプリーバスは、トランプの寝室を「悪魔のワークショップ」と呼んでいたという。トランプがベッドでケーブルテレビのニュースを見て、暴言ツイートを投稿しまくるからだ。

さらにウッドワードの著書によれば、国家安全保障が脅かされる懸念から、側近たちは大統領のデスクからトランプが署名してはまずい書類をこっそり抜き取っていたという。例えば、経済担当大統領補佐官を辞任したゲーリー・コーンは、トランプが米韓FTA(自由貿易協定)を破棄しないよう、この手を使ったとされる。

コーンはまた、NAFTA(北米自由貿易協定)からの離脱を通知する文書も抜き取り、「私にはこれを止められる。彼のデスクから書類を取り上げるだけでいい」と部下に話したという。トランプは重要な文書がなくなっていても、気づかなかったらしい。

トランプが国際情勢にあまりに無知なことに、国家安全保障チームはあきれていたようだ。1月19日に行われた国家安全保障会議の会合で、トランプはこうわめき立てた。アメリカは一体全体、何のために自腹を切って朝鮮半島に軍隊を派遣しているのだ!

北朝鮮のミサイル発射を7秒で探知できる能力を有するなど、在韓米軍の重要性は言うまでもない。ジェームズ・マティス国防長官は「第3次世界大戦を防ぐためです」とトランプに言って聞かせ、後に本人のいない所で、大統領の理解は「小学校5、6年生程度だ」と吐き捨てたという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中