日本人技術者OBを潜水艦建造に起用? 台湾、ステルス外交で日豪印に急接近
インドが進出
機密情報の共有を含め、安全保障面における台湾と日本の関係は一定の時間をかけて築かれてきたが、台湾とインドとの関係は急速に深まっていると、事情に詳しい筋は話す。
大使館に相当する台湾の駐インド代表処には、非公式に武官が置かれた。インド軍幹部は公用旅券ではなく、通常旅券で頻繁に台北を訪れている。台湾は東京やシンガポール、ワシントンの代表処にも非公式に武官を駐在させている。
事情に詳しいインド筋によると、同国は台湾が把握する中国軍の動向、とりわけインドとの国境に近い中国西部での動きに関心を寄せている。「台湾は中国を監視しており、我々は台湾を頼りにしている」と同筋は話し、「インドの軍関係者は、研修休暇と呼ばれるものを利用して定期的に台湾を訪れている」と明かす。
ロイターはインド政府に公式見解を求めたが、同政府に近い筋は安保面の関係についてはコメントを拒否し、こう話した。「台湾との関係は経済や商業のつながり、人的な交流に限定されている」。
台湾は米国の主要同盟国オーストラリアにも接近していると、アジア・太平洋諸国の複数の外交官は言う。
まだ模索段階だが、東南アジアや太平洋地域における中国の動向を監視するという共通の関心について議論をしているという。インドとの関係同様、装備協力などではなく、中国の活動や軍の展開、その意図などの情報共有に発展していく可能性が高いという。
オーストラリア政府の広報官は、コメントを避けた。
豪ロウイー研究所の地域安全保障アナリスト、ユアン・グラハム氏は、オーストラリア政府の立場について、台湾の戦略的な重要性について認識を深めているものの、慎重な姿勢を崩さないだろうと分析する。
「オーストラリアが、例えば日本のように関係を深めてくれると考えているなら、台湾は期待しすぎだろう」と、グラハム氏は言う。「台湾と直接、軍事関係を構築するのはオーストラリアにとって心地よいものではない」。
一方、情報筋によると、シンガポールは中国政府からの圧力にもかかわらず、小規模な軍事的なプレゼンスを台湾に維持する意向をたびたび台湾当局者に示唆している。
台湾とシンガポールの関係は過去数十年続いてきたもので、軍事演習への部隊派遣が柱となっている。2016年11月には、演習で使ったシンガポール軍の装甲車を台湾から輸送する際、香港税関が一時的に差し押さえる事態が発生し、中国政府が非難した。
両者の関係に詳しいシンガポールの研究者は、「台湾はシンガポールが中国の圧力に抵抗し、訓練にとどまらず、広範で深い軍幹部の交流が行われていることを歓迎している」と語る。「今の環境では話し合うことはたくさんある」。
他の研究者も、政府とつながりがある中国人研究者から、台湾との軍事関係を批判されると話す。
「みんな判で押したように、シンガポールはいつになったら(台湾との軍事協力を)止めるのかと聞いてくる。ヒントは明らかだ」と、あるベテラン研究者は言う。
ロイターはシンガポール国防省にコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。