スマホから飛び出す韓国ウェブトゥーン 大ヒット映画や銀行アプリ、さらには日本進出まで
韓国のウェブトゥーンを代表するヒット作「未生 ミセン」は大手ポータルdaumで今もパート2が連載されている。 daum 画面よりキャプチャ
<スマホ普及率が94%で世界1位という韓国。当然、さまざまなヒット商品がスマホから生まれてくるが、今注目を集めているのはウェブトゥーン(ウェブ漫画)だ>
17年ほど前、韓国ソウル芸術大学映画学科に通っていた頃、同期の友達に「日本映画は原作ものが多いけど、観客はなんで結末まで知ったストーリーをわざわざ映画館まで観に行くの?」と質問されて驚いた記憶がある。確かに、当時の韓国では公開される国内映画のほとんどがオリジナルストーリーだった。一方、日本映画は人気の小説や漫画が原作で、しかもアニメ化されドラマ化されたうえでさらに映画化されることも珍しくなく、観客のほとんどがすでにストーリーや設定、登場人物を知った状態で映画館に足を運んでいたのである。
しかし、ここ数年で韓国映画界の状況はガラリと変化した。今ではスマホ用に書き下ろされたウェブトゥーン(ウェブ漫画)の原作映画化が盛んだ。ウェブトゥーン原作で最近ヒットした作品と言えば「神と共に」シリーズだ。2017年12月に公開された1の「罪と罰」は、なんと1440万人を動員、2の「因と縁」もすでに1154万人を突破しており、韓国映画史上初となるシリーズ2作連続の1000万人超えという記念すべき作品となった。
参考記事:日本は韓国のわずか3分の1 快進撃続ける韓国の映画観客動員数
日本でドラマ化される作品も
他にも「インサイダーズ/内部者たち」は707万人。「シークレットミッション」は695万人を動員するなど、ウェブトゥーン原作映画のヒット作は多い。2010年公開の「黒く濁る村」は韓国内で340万人を動員したが、その原作者ユン・テホ氏は「未生 ミセン」もドラマ化され韓国で大ヒットした。この作品、日本でも2016年にHey! Say! Jump!の中島裕翔の主演で「HOPE〜期待ゼロの新入社員〜」としてリメイクされている。
ここまでウェブトゥーンの原作が人気が高いと新しい動きも出始める。今月初め忠武路(映画会社が集まっている地域)の話題をさらったのが「スタジオN」創立のニュースだった。日本でも名前が知られている韓国最大のインターネットポータルサイト、ネイバーの子会社ネイバーウェブトゥーンが全額出資し、ウェブトゥーンやウェブ小説の原作と映像化を橋渡しする制作会社を作ったのだ。