東京五輪は大丈夫? 韓国・平昌で厄介物になった五輪遺産
平昌五輪の会場建設は、突貫工事で行われたわけだが… Pawel Kopczynski-REUTERS
<平昌五輪が閉幕して半年、会場や鉄道など五輪の「遺産」の管理をめぐって韓国では対立が続いている>
平昌五輪が閉幕して半年。開催地の江原道は五輪施設のスピードスケート競技場やアイスホッケーセンター等を維持する管理費用の75%を国が負担し、25%を地元自治体が負担する案を提示しているが、国が難色を示すなど冬季五輪のレガシー(遺産)の管理を巡って対立が続いている。
管理者が決まらないアルペン競技場
アルペン競技が行われた江原道旌善(チョンソン)は原状復旧と存続で意見が対立する。競技場の建設用地は、原生林が生い茂る山林保護地域で、生態系の宝庫と呼ばれていた。
スロープの55%以上を復元して自然生態系を回復する計画だったが、五輪後の3月の国会で都鍾煥(ド・ジョンファン)文化体育観光部長官が本来の目的であるスポーツ施設として活用を模索すると述べて状況が一変した。2021年冬季アジア競技大会の招致を目指す提案が出され、地元の旌善郡は観光資源としての活用を主張する。
環境保護団体は、早期の復元を求めて監査院に監査を要求し、環境部も生態復元の不履行は環境影響評価法違反であるとして江原道に1000万ウォン(約100万円)の過怠金を科したが、地元住民600人余りが2018年8月22日に大統領府前で集会を開いて復元反対を訴えた。
管理者が決まらないスロープは放置されたままとなっており、周囲の土砂が流出してゴンドラを支える柱の一部が傾くなど、台風シーズンを前に土砂崩れを心配する声が上がっている。
氷がなくなった"巨大倉庫"の様相
江陵のスケート競技場も冷凍物流センター、テニス場、コンベンションセンター、スケート場、国家代表練習施設などさまざまな案が挙がったが結論には至っていない。常駐職員が清掃や主な機能の点検を行なっている程度で、8月に中央日報が取材した時には氷がなくなった"巨大倉庫"の様相を呈しており、コンクリートの底は割れていたという。
ボブスレーやスケルトンなどのそり競技が行われた平昌アルペンシアスライディングセンターは平昌五輪の閉幕から10日後の2018年3月5日に閉鎖が決まった。
そり競技は競技人口が少なく、選手とスタッフ合わせて19人しかいない。平昌五輪に向けて代表を育成したが、閉幕と同時に閉鎖と支援打ち切りが決まった。予算の目処が立たなくなった代表チームはスライディングセンターの廃止と同時に解散した。施設の今後は決まっていない。
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早々に撤去を決めた施設もある。開会や閉会式が行われたオリンピックプラザは聖火台を残して解体した。人口4000人の平昌郡横渓里では活用方法がないという理由からだ。予算の浪費という声もあったが、思い切った決断として注目されている。