「アレクサ、おめえ、スコットランド人嫌いだべ!?」
「おめえ、スコットランド人嫌いだべ! このクソ女が!」
英デイリーメール紙は、スコットランド人女性がアレクサに曲をかけてもらうためのコマンドをなかなか理解してもらえない様子をとらえたビデオを電子版記事に掲載している。そこでは、「ダナ」というシンガーの曲をスポティファイでかけるようリクエストしているのだが、「ダナ」の発音を理解してもらえず、「ドナのその曲はありません」と言われ続けている。
なかなか理解してもらえない女性はアレクサに悪態をつきまくり、最終的に「標準語」のイングランド・アクセントでリクエストすると、見事に理解してもらえた。やっとお目当ての曲をわかってもらえた女性は喜びつつも怒りは収まらなかったようで、「おめえ、スコットランド人嫌いだべ! このクソ女が!」と叫んでいる。
テクノロジーは進化したのに訛り対応はまだまだ
ライフ・サイエンス・センターのリンダ・コンロン最高経営責任者は、「訛りがある人に聞いてみるといいですよ、音声認識に対してどれだけ苦労しているか。その昔、10代のころに自動電話システムで映画情報を聞こうとして苦労した人たちが、今スマートフォンやスマートスピーカーで同じ苦労をしているんです。テクノロジーは進化したのに、訛りへの対応はなされていません」と述べた。
かつて英語圏には、ある電話番号にかけて自分が見たい映画タイトルを言うと、自動音声認識システムが判断して映画館情報や開始時間を教えてくれるという電話サービスがあったのだ。
ニューカッスル大学でスピーチや言語科学を教えるローレンス・ホワイト博士は今回の調査結果について、「もしデバイスにしか話しかけていなくて、そのデバイスが自分の訛りを理解してくれなければ、長期的には発話の仕方が変わってしまうかもしれない。でも話すという行為には社会的な力があるため、見慣れた顔を見たとたんまたいつもの訛りに戻るものです」と説明。音声認識デバイスの普及で訛りが消滅するという考えには否定的だ。
メーカー側は訛り対応に取り組んでいると回答
英イブニング・スタンダード紙によると、今回の調査に対しアマゾンは、複数の訛りにアレクサが対応できるよう取り組んでいると話し、「多くの人がさまざまな訛りでアレクサに話せば話すほど、彼女は話すパターンや語彙、個人の好みに慣れていきます」と説明している。
グーグルはイブニング・スタンダードに宛てた文書の中で、グーグル・ホームがさまざまな訛りを認識でき、特に英国の訛りには優秀であることに誇りを持っている、と述べたという。「機械学習のおかげでグーグル・ホームの音声認識能力は飛躍的に向上しており、今後も改善し続けます」としている。
音声認識に関するリサーチを行なっている米企業アプローズの英国代表であるサム・オメーラ氏はイブニング・スタンダードに対し、「テクノロジーは私たちの暮らしを便利にするためにあるもので、テクノロジーの限界に私たちを無理やり従わせるためにあるものではない」と話した。
ユーザーがいつもの話し方を変えなければならないなら、疲れてしまい最終的にはデバイスを使用しなくなってしまうだろう、と指摘。ありとあらゆるバックグラウンドとさまざまな訛りや方言を持った現実の人間に向けてデバイスをテストしていく重要性を語っている。