深刻なホテル不足から、一気に供給過剰が問題となっている韓国・ソウル
そして...中国が団体観光客の訪韓を禁止
ホテルが供給過剰となりはじめた2017年、中国政府は米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍配備に対する報復で、団体観光客の訪韓を禁止した。北朝鮮によるミサイル発射への懸念から日本人も訪韓を控え、2017年の訪韓外国人は前年比22.6%減の1334万人まで落ち込んだ。
2018年現在、日本人は戻っているが、中国人客は戻っていない。プールやスパ、レストランなどが充実しているホテルは、ホテルでバカンスを楽しむ「ホカンス」客で売上は確保したが、夏の観光シーズンが終盤を迎え、予断を許さない状況に変わりはない。
日本人客から中国人客へ、そして
2012年まで訪韓外国人は日本人が多数を占めていたが、竹島問題や慰安婦像を巡る日韓関係の悪化で日本人観光客が減少した。入れ替わりで増加した中国人が日本人客を上回ると、それまで日本人客一辺倒だった免税店やホテル、観光土産物店は中国人客一辺倒に動いた。日本語話者を雇い止めにして、中国人話者を大量採用した企業すらある。
日本人一辺倒、中国人一辺倒では環境の変化についていけない。文化観光体育部が発表した「国民旅行実態調査報告書」によると、2017年度の国内旅行者のうちホテルに宿泊した人は6.9%で、ソウルのホテルは外国人客で成り立っているのが現状だ。
国内需要の掘り起こしや多様な外国人を取り込むなど、根底から見直さない限り生き残る道はない。