エネルギー分野でのロシア依存強く 深まる独メルケル首相のジレンマ
ドイツとEU諸国は、現行のガス輸送契約が2019年に失効する時点で、ウクライナ経由でのガス輸送の継続に向けて、ロシア・ウクライナ両国政府の合意を仲介しようと試みている。だが、これでは欧州消費者の負担によってウクライナを支える形になってしまうという批判もある。
ドイツの社会民主党内部では「ノルド・ストリーム2」に対する支持が根強い。SPD出身の最後の首相であるゲアハルト・シュレーダー氏は、退任後、ロシアの複数のエネルギー企業で役員の座に就き、プーチン氏を親しい友人として認めている。
シュレーダー氏の世代の多くにとって、ロシアとの協力は、彼らの英雄である1970年代のブラント首相による「東方外交」の流れを汲むものだ。ブラント首相は、懐疑的な米国政府に従わずにソ連陣営に手をさしのべた。今日ではこれが冷戦終結に向けた序曲になったと考えられている。
だが、SPD党内でも若い世代は、シュレーダー氏のロシア政府との親密さを批判することも多く、警戒心が強い。
ドイツとロシアのあいだには、数十年間にわたるエネルギー供給協力という絆がある。だが、ドイツは西側の同盟国にも何かを提示する必要がある、と当局者は言う。
ロシアとの協力は大いに進んでいる。先週、メルケル氏はロシアのラブロフ外相をベルリンに迎えた。ラブロフ外相には、ゲラシモフ参謀総長が同行していた。ロシアが2014年にウクライナからクリミア半島を奪って以来、EUでは入域禁止になっていた人物だ。
ロシア政府とのつながりを保つ政策は、ドイツ国内では人気がある。世論調査によれば、ロシアに対する好感度は、他のどの国と比べてもドイツが高くなっている。
だが当局者のあいだでは、ドイツが同盟国のあいだで面目を失うという点で、あまりにも高い代償を払いつつあるのではないかという疑問がますます高まっている。
(翻訳:エァクレーレン)
[ベルリン 6日 ロイター]
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