欧州の資本財メーカー、貿易戦争で原材料の調達チェーン見直し
米国が新たに25%の関税を発動した中国から輸入される818品目は、タービン製品から電子関連や医療機器向けの部品まで幅広い。
モルガン・スタンレーによると、欧州の資本財セクターで輸入関税引き上げの影響が特に大きいのは機械、建設、照明の各業界。とりわけ電子関連部品は供給面でのリスクが大きく、例えばコンピューターや医療機器で使われるプリント基板は、全世界の供給の半分近くを中国製が占める。
既に対応に乗り出した企業も現れている。
ドイツの総合電機大手シーメンスの医療画像・診断部門ヘルシニアーズは調達ルートを見直し、製品の最終的な組み立てを行っている米国工場向けの部品生産拠点を中国から欧州に切り替えた。
スウェーデンの園芸用具・アウトドア機器メーカーのハスクバーナは芝刈り機の部品とエンジンの調達先を中国などアジア諸国から変えようとしている。食品加工機器メーカーのGEAも新たな製品やサービスで使われている中国製部品の調達先を見直す方針を発表した。
ただこれまでのところ最も一般的な対応は製品の値上げだ。特に米国が制裁関税を導入した鉄鋼とアルミを多く使う業界でその傾向が顕著となっている。
電子機器メーカーであるシュナイダー・エレクトリックのエマニュエル・バボー副最高経営責任者(CEO)は「調達のあらゆる場所で価格が上昇しており、関税引き上げの影響を吸収する手段を確保しなければならない」と述べ、今後値上げペースを加速する考えを示した。
(Esha Vaish記者)