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トルコカタールがトルコへ150億ドル投資約束、リラ高後押し 米国は関税維持方針

8月15日、米ホワイトハウスは同国の鉄鋼関税を維持すると表明。一方、カタールがトルコに150億ドルの投資を約束。トルコリラ高を後押しした。トルコ、カタールの首脳、アンカラで撮影。大統領府提供(2018年 ロイター/Kayhan Ozer)
米ホワイトハウスは15日、トルコが身柄を拘束している米国人牧師のアンドリュー・ブランソン氏を解放したとしても、米国の鉄鋼関税の解除にはつながらないと表明した。一方、カタールがトルコに150億ドルの投資を約束。トルコリラ高を後押しした。
トルコによる米国人牧師拘束やその他の外交問題を背景に、両国の関係は悪化。トルコ政府はこの日、乗用車やアルコール、たばこなど一部の米国製品に対する関税を2倍に引き上げた。トランプ米大統領が前週、トルコから輸入するアルミニウムと鉄鋼の関税を引き上げることを承認したと発表したことを受けた動き。
ホワイトハウスのサンダース報道官は記者団に対し「トルコが関税措置を導入したことは実に遺憾であり、間違った方向に向けたステップだ。米国がトルコに課した関税は国家安全保障上の利益を踏まえた決定だったが、トルコの措置は報復に過ぎない」と語った。
同報道官は「ブランソン氏が解放されても関税措置は解除されない。関税措置は国家安全保障に絡んでいる。ただ制裁措置はブランソン氏を含む、米国が不当に身柄を拘束されていると認識する人々の解放に関連して導入されており、(解放された時点で)解除を検討する」と述べた。
一方、カタールがトルコに150億ドルの投資を約束したと、トルコ政府関係筋が15日、ロイターの取材で明らかにした。資金はトルコ国内の金融市場や銀行に回るという。
カタールのタミム首長が、トルコのエルドアン大統領とアンカラで会談後、投資提案が公表された。
15日のトルコリラ
また、トルコのチャヴシュオール外相は15日、脅されることがない場合、トルコは米国と両国が現在抱える問題について協議する用意があるとの姿勢を示した。
同外相はさらに、トルコと欧州連合(EU)との関係はこれまでより堅くなっており、正常化に向かっているとの認識を示し、ビザ問題を巡りEUの執行機関である欧州委員会のティンメルマンス副委員長と会談する予定であることを明らかにした。
このほか、銀行監督当局が為替スワップ取引の制限に乗り出したこともリラを支援した。
TDセキュリティーズの新興国市場戦略部門責任者、クリスチアン・マッジオ氏は「当局は現在、リラ流動性を絞っており、金利の上昇を進めている。金利は10%上昇した。中銀は政策金利の変更を通じてこうしたことを行っているわけではないが、流動性を絞っているため、結果は同じとなっている」と述べた。


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