中朝国境、丹東市に住宅購入制限令
だから今年4月21日に北朝鮮が「核を放棄し、全面的に改革開放を進める」と宣言してからは、丹東市に不動産業者が殺到し始めたのだ。
時勢を先んじて読んでいた教え子は、その日の内に3軒も丹東市のマンションを購入していた。
丹東市は北朝鮮の経済開発区である新義州と河一本を隔てて接している中朝貿易の拠点の一つだ。
中国共産党系列のメディア「環球網」は、4月24日から25日にかけて住宅価格が48時間以内に57%も高騰したと伝えた。1平米3500元だったのが5500元になったという。
こうして4月27日に、南北首脳会談が開催されたのである。
丹東市にも住宅購入制限令
すると中国全土の不動産業者の多くが丹東市に殺到し、役所の登記機能がパンクしてしまった。
登記予約票を発行したが、それでも追い付かない。
そこで5月14日、遂に丹東市人民政府は、市独自の法規として「丹東市住宅購入制限令」を発布したのである。
内容的には主として「振興区中心南路以東、江湾西路以西、黄海対外以南、鴨緑江大道以北、すなわち丹東新区区域の不動産を対象として住宅購入に関して制限を設ける」として、非当地(丹東市)戸籍人員が当該区域で居住するためではない住宅を購入する場合は、不動産権利を取得した2年以降でないと売買をしてはならないとか、金融危機(住宅バブル)を回避するために頭金など銀行の貸付規定を守らなければならないなど、細かな規制が設けられている。
辺境貿易の特殊性
昨年5月1日のコラム「中国は北にどこまで経済制裁をするか?」で詳述したように、中国政府(国務院)は1992年に13の「辺境貿易都市」を指定したことがある。これは改革開放がなかなか進まないので、鄧小平が辺境地域に関しては地方人民政府の裁量で独自に交易を進めていいという特別措置をしたものだ。
その中の一つに中朝国境(辺界)がある。
北は吉林省延辺朝鮮族自治区の延吉市や南の遼寧省丹東市などが、その代表的なものだ。この丹東市がいま熱いのは、鴨緑江を挟んで、北朝鮮側に経済開発区・新義州があって、いま金正恩委員長がその開発に力を入れているからである。特にそこには中朝友誼橋(鴨緑江大橋)がある。