最新記事

アメリカ外交

傍若無人なトランプ欧州歴訪で同盟国に混乱 陰で笑うロシア

2018年7月18日(水)14時05分

与野党とも猛反発

トランプ氏は、プーチン氏との会談前日のCBSテレビのインタビューでは、EUを通商政策における「敵」とまで言い切った。

逆に西側世界からあらゆる形の非難を浴びているプーチン氏をトランプ氏は「良い競争相手」と呼び、「競争相手という言葉には補完し合うという意味があると思う」と付け加えた。

そんな外遊から帰国の途に就いたトランプ氏に、議会は与野党とも猛反発している。

共和党のマケイン上院議員は「われわれの最も親しい友人や同盟相手に向けた衝撃的で一貫性のない一連の発言に続く今回の(米ロ首脳会談後の)会見は、米国の歴代大統領として近年では最低の点数しか与えられない」と述べた。

トランプ氏の批判派が指摘するのは、同氏が米大統領選介入疑惑を再び否定したプーチン氏を公然と非難しなかった点だ。それどころかトランプ氏は、自国の情報機関がロシアを責めている中でも、プーチン氏の疑惑を認めない力強い姿勢を高く評価した。

一方でプーチン氏は首脳会談後の会見で余裕の笑みを浮かべ、記者からトランプ氏がビジネスマン時代の2013年にモスクワを訪れた際、彼の「弱味」を握ったのかどうか改めて聞かれると、声を立てて笑ったようにも見えた。

実際トランプ氏は今回の会談で何の成果も得られていない。クリミア編入問題を巡るトランプ氏の懸念はプーチン氏に一蹴され、シリア情勢や核軍縮についてはあいまいな約束が交わされただけだった。

Steve Holland and Jeff Mason

[ヘルシンキ 16日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ロのキーウ攻撃を非難 「ウラジーミル、

ビジネス

米新規失業保険申請6000件増、関税懸念でも労働市

ビジネス

米中古住宅販売、3月5.9%減 需要減退で一段低迷

ビジネス

アメリカン航空、今年の業績見通しを撤回 関税などで
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 7
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「iPhone利用者」の割合が高い国…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 6
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 7
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 10
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中