米ロ会談、プーチンの肩持った裏切り者トランプにアメリカ騒然
コーツはトランプの発言について直接のコメントはしなかったものの、16日に発表した声明の中で「2016年の選挙にロシアが介入し、また彼らが今も我が国の民主主義を弱体化させようとさまざまな取り組みを行っていることは明白だ」と述べた。
トランプはプーチンに擦り寄る一方、同盟諸国には喧嘩を売ってきた。米ロ首脳会談に先立って出席した毎年恒例のNATO首脳会議では、欧州の同盟国に対して国防支出を引き上げるよう要求。さもなければアメリカがNATOを脱退すると脅した、という報道もあった(トランプはこれを否定)。
15日にCBSで放送されたインタビューの中では、「EU(欧州連合)は敵」だと発言。これが同盟諸国の怒りを買ったと、米空軍の諜報担当者は言う。「私は同盟諸国のパートナーたちと仕事をしているが、あのコメントは評判が悪かった」とこの諜報担当者は語った。
「#反逆の首脳会談」がトレンド入り
トランプとプーチンの共同記者会見に対する、国防総省内の反応はさまざまだった。多くの当局者がトランプの発言を非難した一方、それに反論する声もあった。
「トランプがプーチンの前で本人を侮辱すると予想していたとすれば、マスコミは愚かだ」と、米海兵隊のある諜報アナリストは語った。「隣にプーチンがいる場で、本心を言う訳がない」
米海軍の元情報アナリストで、ロシアが2016年の米選挙に影響力を及ぼすために使用したツールや技術についての詳細を記した『The Plot to Destroy Democracy(民主主義破壊計画)』の著者でもあるマルコーム・ナンスは、ツイッターで終日「#TreasonSummit(反逆の首脳会談)」がトレンド入りしていると指摘して次のように語った。
「彼は司法省と米情報コミュニティー全体を裏切って彼らを実質的に嘘つき呼ばわりし、プーチンの味方をしたのだ」
共和党のジョン・マケイン上院議員もナンスと同様の見解を示した。
「ヘルシンキでの記者会見は、記憶にある限りでの、アメリカの大統領による最も恥ずべき振る舞いだった」と、上院軍事委員会の委員長でもあるマケインは声明で語った。「米ロ首脳会談が悲惨な過ちだったのは明らかだ。トランプ大統領はプーチンに立ち向かうことができないだけでなく、そうする意思もないことを証明した」
ブレナン元CIA長官はツイッターで、「会見でのトランプ大統領の発言は軽犯罪や重大な犯罪の域を超えるもので、まさに反逆に他ならない。愚かなだけでなく、完全にプーチン氏の手の内に入っている」と強く批判した。
国外で激動の数日間を過ごしたトランプ大統領は、16日夜にアメリカに帰国する予定だ。
(翻訳:森美歩)
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