最新記事

米ロ首脳会談

米ロ会談、プーチンの肩持った裏切り者トランプにアメリカ騒然

2018年7月17日(火)15時10分
ジェームズ・ラポルタ

コーツはトランプの発言について直接のコメントはしなかったものの、16日に発表した声明の中で「2016年の選挙にロシアが介入し、また彼らが今も我が国の民主主義を弱体化させようとさまざまな取り組みを行っていることは明白だ」と述べた。

トランプはプーチンに擦り寄る一方、同盟諸国には喧嘩を売ってきた。米ロ首脳会談に先立って出席した毎年恒例のNATO首脳会議では、欧州の同盟国に対して国防支出を引き上げるよう要求。さもなければアメリカがNATOを脱退すると脅した、という報道もあった(トランプはこれを否定)。

15日にCBSで放送されたインタビューの中では、「EU(欧州連合)は敵」だと発言。これが同盟諸国の怒りを買ったと、米空軍の諜報担当者は言う。「私は同盟諸国のパートナーたちと仕事をしているが、あのコメントは評判が悪かった」とこの諜報担当者は語った。

「#反逆の首脳会談」がトレンド入り

トランプとプーチンの共同記者会見に対する、国防総省内の反応はさまざまだった。多くの当局者がトランプの発言を非難した一方、それに反論する声もあった。

「トランプがプーチンの前で本人を侮辱すると予想していたとすれば、マスコミは愚かだ」と、米海兵隊のある諜報アナリストは語った。「隣にプーチンがいる場で、本心を言う訳がない」

米海軍の元情報アナリストで、ロシアが2016年の米選挙に影響力を及ぼすために使用したツールや技術についての詳細を記した『The Plot to Destroy Democracy(民主主義破壊計画)』の著者でもあるマルコーム・ナンスは、ツイッターで終日「#TreasonSummit(反逆の首脳会談)」がトレンド入りしていると指摘して次のように語った。

「彼は司法省と米情報コミュニティー全体を裏切って彼らを実質的に嘘つき呼ばわりし、プーチンの味方をしたのだ」

共和党のジョン・マケイン上院議員もナンスと同様の見解を示した。

「ヘルシンキでの記者会見は、記憶にある限りでの、アメリカの大統領による最も恥ずべき振る舞いだった」と、上院軍事委員会の委員長でもあるマケインは声明で語った。「米ロ首脳会談が悲惨な過ちだったのは明らかだ。トランプ大統領はプーチンに立ち向かうことができないだけでなく、そうする意思もないことを証明した」

ブレナン元CIA長官はツイッターで、「会見でのトランプ大統領の発言は軽犯罪や重大な犯罪の域を超えるもので、まさに反逆に他ならない。愚かなだけでなく、完全にプーチン氏の手の内に入っている」と強く批判した。

国外で激動の数日間を過ごしたトランプ大統領は、16日夜にアメリカに帰国する予定だ。

(翻訳:森美歩)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中