最新記事

通商交渉

トランプ「穏健な英EU離脱案、米英貿易協定の機会つぶす」

2018年7月13日(金)12時00分

 7月12日、トランプ米大統領は、メイ英首相が先週、欧州連合(EU)からの穏健な離脱案を示したことについて、米英が貿易協定を結ぶ機会を「恐らくつぶす」との認識を示した。11日撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

トランプ米大統領は、メイ英首相が先週示した欧州連合(EU)からの穏健な離脱案を遂行する場合、米英間の自由貿易協定締結は不可能になる可能性があるとの認識を示した。

英紙サンが12日遅くに伝えた。同紙のインタビューはトランプ氏が大統領として初めての英国訪問に発つ前、ブリュッセルで行われた。

記事によると、トランプ氏は「英国がそうした(穏健な)離脱で合意すれば、われわれは英国ではなくEUとやり取りすることになるため、恐らく合意はないだろう」と発言。

トランプ氏はまた、離脱方法に関する自身の助言をメイ首相が無視したと主張。「私ならかなり異なる形でやっただろう」とし、「メイ氏にどうすべきか伝えたが、聞き入れられなかった」と述べた。

さらに、メイ首相が打ち出した穏健路線に抗議して辞任したジョンソン前英外相については、「素晴らしい首相」になる人物だと評した。

サン紙の記事が出る数時間前、トランプ氏は、オックスフォード近郊にある第2次大戦時の首相チャーチルの生家、ブレナム宮殿でメイ首相主催の夕食会に出席した。メイ氏は夕食会でのスピーチで、米英の長年の友好関係を称えた上で、将来の繁栄に向けた関係強化をトランプ氏に直接訴えた。

米国との貿易協定締結は、メイ首相率いる保守党のEU離脱派が目標に掲げており、党内では首相がEUに譲歩しすぎているとの批判も出ている。

インタビュー記事を受けて、ホワイトハウスのサンダース報道官は、トランプ大統領は「メイ首相に好感を持っており、非常に尊敬している」と釈明。大統領はインタビューでメイ首相が「非常に良い人物」だと語り、一度も悪口を言ったことはないと強調した。

トランプ大統領とメイ首相は13日に昼食会が予定されている。英首相府はこれまでのところトランプ大統領のインタビューでの発言についてコメントしていない。

[ロンドン 12日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ENEOS、海運事業の一部譲渡完了 700億円を営

ビジネス

シャオミのEVが死亡事故、運転支援モードで柱に衝突

ワールド

中国軍、台湾周辺で軍事演習開始 頼総統を「寄生虫」

ビジネス

日経平均は小反発、買い一巡後は上値重い 米関税への
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中