トランプ経済「絶好調」はただの幻想? 見えてきた失速の要因
アメリカの金融大手ゴールドマン・サックスは昨年11月、中国の政府系ファンド「中国投資有限責任公司(CIC)」と手を組んで、50億ドル規模のファンドを立ち上げることを明らかにした。目的は、中国市場に製品を輸出するようなアメリカ企業に投資することだ。
「米国内で(輸出用の)製品が製造されれば、アメリカの雇用が増える」と、ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファインCEOは言う。だが、トランプ政権が貿易戦争を過熱させれば、こうしたアメリカ国内への投資も脅かされてしまう。
ほかの国に関税を課せば、相手国による対抗措置が避けられない。カナダは総額128億ドル相当、メキシコは総額30億ドル相当のアメリカからの輸入品に関税を課すことを計画している。これにより打撃を被るのは、トランプの主要な支持基盤である農業と製造業だ。
16年の米大統領選でトランプがペンシルベニア州、オハイオ州、ミシガン州といった「ラストベルト地帯」で圧勝した一因は、アメリカの製造業を復活させると訴えたからだった。トランプが他国に仕掛ける貿易戦争は、これらの地域を苦しめる結果を招く。
それでもトランプは、歴史家や経済学者、そしてもしかすると自らの支持者たちが抱いている不安もどこ吹く風。相変わらず、「建国以来最高の好景気」を自画自賛し続けている。
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[2018年7月10日号掲載]