最新記事

北朝鮮

北朝鮮がロシアへの国際列車ツアーを解禁した──平壌からモスクワへ

2018年7月5日(木)15時40分
中野鷹

北朝鮮は外国人のローカル駅での降車は原則認められない(訪朝者提供)

<北朝鮮からロシアへの国際列車ツアーができるようになった>

北朝鮮がロシアとの関係を強化している。これまで北朝鮮から鉄道で出国できるのは中国のみだったが、さらにロシアが加わった。

北朝鮮ーロシア間の鉄道の線路は元々連結されてはいたが、レールの幅(軌間)の違いがあり、朝ロ国境での台車交換が必要で時間がかかっていた。

中国に租借権が与えられている羅津港

2013年9月に、北朝鮮東北部の羅津港からロシアのハサンまでの約54キロメートルを、ロシアが負担して、朝ロ両国の規格に対応する4線軌条に改修した。これによりロシアの軌間(1520ミリメートル)の車両が、不凍港である羅津港まで直接乗り入れることができるようなっている。

日本統治時代の1930年代に開港した羅津港は、中国へ2005年から50年間の租借権が与えられていて、事実上の中国領土状態だ。しかし中朝関係が冷え込んでいるすきに乗じて、ロシアが参入してきた形だ。今も昔も不凍港を求めて南下する点は帝政ロシア、ソ連を経ても変わらない。

nakano0705a.jpg羅津港がある羅先特別市(訪朝者提供)

2013年、北朝鮮東北部の羅津港からロシアのハサンを結ぶ鉄道開通時のレポート KyodoNews

連結工事終了後は、主にロシアから鉱物資源を羅津港へ輸送する車両が利用し、一部のロシアの旅行会社が鉄道入国ツアーを実施していた。

それが2018年になってロシア以外の旅行会社でも鉄道利用が解禁され、北朝鮮からロシアへの国際列車ツアーができるようになったのだ。

平壌からモスクワへの国際列車が運行開始

そして今年の春、平壌からモスクワへの国際列車が毎月4日と18日に運行され始めた。これで平壌から羅先、豆満江を経て、ハサン、ウスリースク、ハバロフスク、モスクワ、さらに乗り換えればヨーロッパへも鉄道で行けるようになったことになる。

当初、平壌から羅先までの国内列車も解禁すると発表していたので、乗車希望を出してみたのだが、安全上などの理由で許可が下りなかった。取材を進めていくと、20人ほどの大人数のグループ以外の少人数での乗車はすべて断っていることが分かった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

スペインに緊急事態宣言、大規模停電で 原因特定でき

ワールド

ロシア、5月8から3日間の停戦を宣言 ウクライナ懐

ワールド

パキスタン国防相「インドによる侵攻差し迫る」、 カ

ワールド

BRICS外相会合、トランプ関税の対応協議 共同声
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 8
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    【クイズ】米俳優が激白した、バットマンを演じる上…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中