北欧スウェーデンで体内へのマイクロチップの埋め込みが広がる理由とは
スウェーデンでは、デジタルに対する信頼度が高い
また、スウェーデンの経済状況や事業環境、社会的背景も、少なからずスウェーデンのバイオハッキング文化に影響をもたらしているようだ。スウェーデンでは、1990年代から技術インフラへの投資に注力しており、研究開発費対GDP比は2016年時点で世界第三位の3.255%となっている。
インターネット電話サービス「スカイプ」や音楽ストリーミング配信サービス「スポティファイ」などの優良スタートアップ企業が生まれた国としても知られ、デジタルテクノロジーにまつわる様々なイノベーションやプロダクト、サービスが経済を支えてきた。
ピーターセン博士は「スウェーデンでは、人々のデジタルに対する信頼度が高い」と述べ、このようなデジタルテクノロジーへの確信や信頼がスウェーデンの文化にも強く影響を及ぼしていると分析している。
バイオハッカーサミットの開催
このほか、スウェーデン出身の哲学者ニック・ボストロム博士らが1998年に創設した非営利団体「ヒューマニティ+」などの取り組みもスウェーデン国内でのトランスヒューマニズムの発展や啓発に寄与。2017年と2018年には首都ストックホルムで「バイオハッカーサミット」が開催されるなど、近年では、バイオハッカーの世界的な拠点としての役割をも担い始めている。
Biohacker Summit 2018体内へのマイクロチップの埋め込みについては、情報セキュリティやプライバシー、健康影響など、様々な観点から懸念が指摘されており、その本格的な実用化に向けて解決すべき課題は少なくない。それゆえに、"バイオハック先進国"であるスウェーデンの動向は、注目に値するといえるだろう。