牛肉はOKだがチーズバーガーはNG ユダヤ教を15の疑問で読み解く
Q 09. どんな宗派がありますか?
主要な宗派として、超正統派、現代正統派、保守派、改革派、再建派の5宗派がある。各宗派で食事規定の実践や、服装などが異なる。たとえば正統派は食事の規定に厳格であるが、改革派は現代社会に合わせて、食事の自由を認める。その中間には保守派がいる。多様性はユダヤ人が経験してきた葛藤のあらわれでもあるだろう。
Q 10. 食べてはいけないものはありますか?
ユダヤ教にはカシュルートと呼ばれる厳密な食事規定がある。反芻しない、もしくは蹄が完全に分かれていない動物や、肉類と乳製品を一緒に調理したもの、血液などを食すことは禁止されている。牛肉はOK だが、チーズバーガーはNG である。
Q 11. ファッションや髪型に決まりはありますか?
基本的に超正統派を含むユダヤ教徒の男性は、シナゴーグの礼拝では神への敬虔さを表するキッパと呼ばれる小さな帽子を被り、タリートと呼ばれる肩からかけるショールを羽織ることが義務づけられている。
また、安息日や祭日を除いた週日の朝の礼拝では、テフィリンと呼ばれる革製の小箱を左上腕に革紐でしばり、他方を額に結び付ける。タリートやテフィリンは男性が着用するものであり、女性がそれらを身につけるのは禁止されている。
神の啓示の法ハラハーを徹底して守る超正統派の人々は、黒い帽子あるいは毛皮の帽子に、黒い上着およびコートを着用。さらに、ペアーと呼ばれるもみあげを巻き毛にして頬まで長く伸ばす髪型にしている。ペアーはキッパと黒い帽子と同様に、超正統派の男性を特徴づけるものであり、たとえばイエメンでは、かつてユダヤ人と異邦人を区別する指標でもあったとされている。
Q 12. 信者に恋をしましたが私は無宗教です。結婚はできますか?
ユダヤ人の血縁を絶やさないよう、入信が必要になる場合もある。ユダヤ人を「ユダヤ人の母親から生まれた人」というイスラエルの帰還法による定義で捉えると、無宗教の異邦人男性がユダヤ人女性と結婚する場合は入信不要だが、女性の場合は入信が必要。
Q 13. 死ぬと人間はどうなるのですか?
ユダヤ教においては来世の生命についての明確な教理は存在しない。しかし同時に、神は人を生前の行いに応じて裁いた後、「来る世の生命」を与えると説く。メシアの到来とともに地上にその国が打ち立てられる時、死者は現世で復活するという考えもある。
Q 14. 悪魔はいますか?
人間の内面に存在する悪の衝動そのものを悪魔とする。サタンは「非難する敵」を意味するヘブライ語のsatan に由来し、人間の内面に存在する悪の衝動を表すメタファーとして理解されることが多い。タルムードでは人間のすべての罪の原因とされる。
Q 15. 人間はどんな存在ですか? 人間は何のために生きるのですか?
人間は神のパートナー。神のイメージにかたどって創造された存在だ。人生の目的は、現在進行している神の創造の業にパートナーとして参加し、これを完成させ、神に栄光を帰すること。ユダヤ民族はトーラーの戒律を守り実践していくことで、よりよい世界を建設する責務を負う。
(Text:櫻井丈)
【参考記事】ムスリムに恋をしたら結婚できる? 今さら聞けないイスラム教15の疑問
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