最新記事

火災

アテネ近郊の大規模森林火災、少なくとも74人が死亡 延焼の速さから逃げられず

2018年7月25日(水)10時40分

7月24日、アテネ近郊で大規模な森林火災が発生し、少なくとも74人が死亡した。消防当局者によると、犠牲者は今後増えるとみられている。焼け焦げた車の間を歩く消防士。アテネ近郊マティで撮影(2018年 ロイター/Costas Baltas)

アテネ近郊で大規模な森林火災が発生し、少なくとも74人が死亡した。消防当局者によると、犠牲者は今後増えるとみられている。

アテネ東方にあり、保養や子どもたちのサマーキャンプに利用されるリゾート地マティでは、24日未明になって路上に焼け焦げて溶けた車が並び、路肩に遺体が横たわる惨状が明らかになった。ある場所では、子どもを含む26人が火炎から逃れようと海に面したがけの上に避難したところ、逃げ切れず命を落としているのが見つかった。数人は、抱き合った状態だったという。

がけから海に飛び降りたり、浜から海上に逃れた人もいた。しかし消防によると、多くの人は自宅やエーゲ海から数メートルの所にいながら、火炎の速さから逃れられなかった。ある生還者は、マティの状況を西暦79年にベスビオ火山の噴火で数千人の死者を出したポンペイの悲劇になぞらえた。

これまでに少なくとも187人が負傷しており、このうち23人が子どもという。

チプラス首相はテレビで3日間の服喪期間を宣言。「ギリシャは言葉にならない悲劇を経験している」と述べた。

マティの火災は24日午後までに沈静化したが、低木地帯が熱気で乾燥し、再燃する懸念が依然残っている。

ギリシャでは森林火災は珍しくないが、今回の火災の原因は不明で、アテネの検察当局が捜査を指示している。

ギリシャは欧州連合(EU)加盟国に支援を要請。キプロス、スペイン、イタリア、クロアチア、ポルトガルが支援を表明している。

フランスのマクロン大統領はツイッターで、「われわれはギリシャと、恐ろしい火災の犠牲者に思いを馳せている」とフランス語とギリシャ語で投稿。ローマ法王フランシスコは弔電を送り、この悲劇を深く悲しみ、犠牲者と遺族のために祈っていると述べた。

[マティ(ギリシャ) 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米テキサス・ニューメキシコ州のはしか感染20%増、

ビジネス

米FRB、7月から3回連続で25bp利下げへ=ゴー

ワールド

米ニューメキシコ州共和党本部に放火、「ICE=KK

ビジネス

大和証G・かんぽ生命・三井物、オルタナティブ資産運
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中