外資泣かせの北朝鮮ビジネス、また失敗繰り返すか
ロイターが閲覧した米中央情報局(CIA)の公開文書には、2004から2011年までの期間に、オーストリアとのピアノ製造事業、韓国からの投資による平壌での鶏肉やビールの合弁事業、衣料品工場など、北朝鮮との合弁事業が350件以上も記載されている。このうち約4分の3は中国パートナーとの合弁事業だった。
だが、昨年9月に北朝鮮が9回目の核実験を強行したことで、国連安全保障理事会が同国とのすべての合弁事業を禁止した時点では、すでに大半の合弁事業が閉鎖に追い込まれていた。
このうち最も著名な事業だったのは、エジプトの通信会社オラスコム・テレコム(現グローバル・テレコム
オラスコムは2015年、保有していた高麗リンクの株式75%について「支配権を失った」と公式に表明した。ロイターが閲覧した申告書によれば、高麗リンクのモバイルネットワーク事業は急速に成長したにもかかわらず、オラスコムは資金を平壌から本国に戻すために何年も苦労を重ねている。
これ以外にも、南北国境の北側にある開城(ケソン)共同工業地区では、北朝鮮による長距離ミサイルの発射を契機として2016年に閉鎖されるまで、韓国企業120社が操業していた。
<ビッグマック登場はまだ先か>
新たに開放される市場では、消費者向け大手企業のあいだで「一番乗り競争」が生じることが多い。
1990年に米国の外食チェーンとして最初にロシア進出を果たしたのはハンバーガーショップ最大手のマクドナルドで、1987年に西側の食品関連企業として最初に中国に進出したのはケンタッキーフライドチキン(KFC)だった。
だが1988年に出店したマクドナルドの韓国1号店で店長を務めたCho Nam-chan氏は、道路事情が悪くサプライチェーンが未整備であるため、マクドナルドが北朝鮮で1号店を出すのは簡単ではないと語る。
「マクドナルドは進出先の市場で利益を上げなければならず、政治的にも安定していることを確かめなければならない。パテなどの現地供給が安定していること、原材料の冷蔵システム、運営全般に必要な十分な電力も条件になる」とCho氏は指摘する。