トランプの「米韓演習中止」で米軍困惑 即応体制維持できるか
どんな訓練なら可能か
米国家安全保障会議(NSC)の関係者は、今回の凍結発表後も、なんらかの訓練は継続されると話す。
「韓国防衛に関するわれわれのコミットメントはまったく変わらない」とこの関係者は語る。「通常の準備訓練や訓練交流は継続される」
元米空軍士官で現在は予備役のテッド・リュウ下院議員(民主党)は、軍事演習と「通常準備訓練」の線引きは困難だと指摘する。
「2つは、同じものに属する異なるパーツだ」と、下院外交委員でもあるリュウ氏は話した。
いずれにしても、毎年定例の「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン演習」が今年実施される可能性は低くなったとみられている。
昨年8月に行われた同演習には、米軍から約1万7500人が参加し、韓国軍と合同で訓練を行った。ほかに、オーストラリア、カナダ、コロンビア、デンマーク、ニュージーランド、オランダ、英国の各部隊も参加した。
米下院軍事委員会のソーンベリー委員長は、今年8月に予定していた同訓練に影響が出てくるとの見方を示した。
「大規模な合同軍事演習は中止される方針だと理解している」と、同委員長は語り、交渉を行い「北朝鮮を試す」トランプ政権の取り組みを支持すると付け加えた。
他の主な米軍演習は、来年春まで予定されていないと米軍関係者は言う。そのため、外交官や軍の計画立案者には時間的余裕が生じるとみられる。
米韓合同演習は、毎年春に行われる「フォールイーグル」と「マックスサンダー」が重要だが、今年の両演習は、先月終了した。
マックスサンダーの空中戦訓練にいら立った北朝鮮は、今回の米朝首脳会談開催を脅かす声明を出して反発。フォールイーグルは、戦争想定シナリオに沿って実施され、陸海空軍に加え特殊部隊も参加する。
1つの可能性は、いくつかの合同訓練を韓国の外で行うことだ。米軍のインド太平洋軍の域内には、通常訓練の機会が豊富にある。
小野寺国防相は13日、日米合同演習は不可欠であり、継続されると述べた。
リュウ議員は、北朝鮮との衝突想定シナリオを適切に再現するのが難しいとして、米韓演習を日本やグアムで行う可能性について否定的な見解を示した。「グアムは北朝鮮に似ていないので変だろう。日本もそうだ。(グアムや日本での演習実施は)有用性が不透明だ」
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
[ワシントン 13日 ロイター]