トランプはどうやって体制を保証するのか、金正恩は信じるか
ワーツは続けて、こう述べた。「北朝鮮は、政府間合意よりも重みのあるアメリカ議会の承認を得られるなら、平和条約か不可侵条約を検討するかもしれない。というのも北朝鮮は、アメリカ政府は政権交代すると前任者が合意したものをやすやすと破棄する可能性があることを十分に認識しているからだ」
米朝会談では、韓国に駐留する2万8000人にのぼるアメリカ軍、ならびに米韓合同軍事演習の今後について話し合われるのは間違いない。トランプは、韓国から軍の一部を撤退させる可能性について示唆している。一方の金は、軍事演習の規模が縮小されるなら、朝鮮半島におけるアメリカ軍駐留を容認する用意があることをにおわせている。
双方のそうした姿勢は歩み寄りを可能にするが、北朝鮮が満足できるような保証をアメリカが与えられる可能性は低いと主張するアナリストもいる。
ウクライナの二の舞も
国際情勢専門のシンクタンク、アトランティック・カウンシルのシニアフェロー、ロバート・マニングは本誌に対し、過去の失敗例に触れながらこう語った。「安全条約は、ある種の保証となるだろう。ただし、これまでの歴史を見る限り、アメリカが安全を約束したところで、それにどの程度の価値があるのか、確かなことは言えない。(リビアの指導者だったムアンマル・)カダフィは核を放棄したのに殺された。ウクライナも核兵器を手放す代わりにアメリカなどが安全を保障したが、今は国境をロシアに脅かされている。
「(米朝会談では)まだ答えられていない問題が数多くある」とマニングは語る。「これが世界最大のリアリティ番組であるということ以外、次に何が起こるか、私にはわからない」
(翻訳:ガリレオ)
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