苦境の中国鉄鋼業 東南アジアから新天地求めアフリカ・南米に熱視線
中国から直接米国に輸出される鉄鋼は、全体の1%未満にすぎない。だが米国は、ベトナム経由で米国に輸出される鉄鋼にも厳しい関税を課すことで、中国産鉄鋼を米国内で割高にしようとしている。
ベトナムの鉄鋼メーカーは、主に熱間圧延鋼板(HRC)を中国から買い付けているが、米国の反ダンピング関税を回避するために、中国からのHRC輸入をやめる公算だと、ベトナム鉄鋼協会のChuDuc Khai副会長は語る。
ベトナムは昨年、鉄鋼470万トンを輸出し、その6割近くが東南アジア向けで、米国向けは約11%だった。
台湾の企業グループ、台湾塑膠工業集団(フォルモサ・プラスチック・グループ)が新たにベトナムに建設した鉄鋼工場が昨年6月からHRC生産を開始したため、中国から輸入する必要性が低下している、と同副会長は述べた。
ベトナムやインドネシア、マレーシアといった東南アジアの国々が鉄鋼生産能力を拡大しており、いずれ輸入需要は減退するだろうと、コモディティ調査会社CRUのアナリスト、Alex Zhirui Ji氏は語る。
「私の友人の多くは、アフリカ諸国とのビジネスに切り替えようとしている。その方が、ポテンシャルも需要も大きい」と、中国最大の鉄鋼生産地・唐山を拠点とするある鉄鋼取引業者は話した。
「アジアでのビジネスが難しくなっていると感じる。私も新たな市場を探している。友人たちを追って、たぶんアフリカに行くことになるだろう」
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
[マニラ/北京 6日 ロイター]