北朝鮮軍幹部にイエスマン 金正恩、いよいよ「非核化」決断か
不在時の保険
トランプ大統領は、経済制裁の緩和と引き換えに「非核化」することを北朝鮮に求めている。北朝鮮政府は自国の核兵器開発について、生き残るためには不可欠なものと考えているが、金委員長は経済発展に注力すると明言している。
今回の人事交代は、重鎮らを粛清し、より若く信頼できる側近を党政治局や他の中心的な地位に起用することにより権力固めを続けてきた金委員長の数年がかりの努力と一致するものだ。
首脳会談出席のため金委員長が不在にする間に権力を掌握しようとする企みに対する保険の意味合いもあると専門家は指摘する。
「新たに起用された人物は皆、金正恩氏の側近だ。自身に忠実な信頼できる人たちを起用している」とジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮分析の専門家、マイケル・マッデン氏は語った。
忠誠心が強いだけでなく、新たに抜擢された3人は対外的な活動に従事した経験があり、こうした面もプラスポイントとみなされていると同氏は指摘。ただ、3人の中からシンガポールに向かう金委員長の同行者が出るかはまだ分からないという。
4つ星の大将である金秀吉氏(68)は金委員長が最も信頼する側近の1人で、さまざまな軍の視察や公的行事に同行している。
同氏は、2013年12月に行われた、金委員長のおじで実力者の張成沢(チャン・ソンテク)氏の粛清・処刑に関与した。その翌年初めに平壌市党委員長に抜擢されている。マッデン氏の言葉を借りれば、張氏の側近が多くいる運営組織を「大掃除」するために任された仕事だった。
秀吉氏の軍総政治局長への起用は、軍に対する党の支配を強化する金委員長の取り組みの一環であると、調査・分析を行う米非営利組織CNAの国際問題グループ責任者、ケン・ガウゼ氏は話した。
お墨付き
新たに起用された3人は皆60代ではあるものの、前任者よりは若い。
この3人はまた、2016年5月に最高意思決定機関である党政治局の局員代理に選ばれている。