最新記事

朝鮮半島

北朝鮮軍幹部にイエスマン 金正恩、いよいよ「非核化」決断か

2018年6月6日(水)16時20分

6月4日、北朝鮮で新たに選ばれた軍幹部3人は、同国指導者の金正恩氏(写真)に対し絶対的な忠誠心があることで知られ、トランプ米大統領と取引して大転換を迫られることになっても、それを受け入れるのに十分な柔軟性を備えていると、北朝鮮専門家たちは指摘する。写真は昨年4月、KCNA提供(2018年 ロイター)

北朝鮮で新たに選ばれた軍幹部3人は、同国指導者の金正恩(キム・ジョンウン)氏に対し絶対的な忠誠心があることで知られ、トランプ米大統領と取引して大転換を迫られることになっても、それを受け入れるのに十分な柔軟性を備えていると、北朝鮮専門家たちは指摘する。

米高官と北朝鮮指導部を分析する韓国の専門家らによると、この3人は、最近解任されたより保守的で年配の幹部と交代した。

米国が交渉によって北朝鮮に核プログラムを放棄させようとする中、北朝鮮がこれまでの核兵器開発と敵対姿勢を完全に転換して、金正恩・朝鮮労働党委員長が米韓と交渉することについて、北朝鮮の軍内部で反発があったのではないかと米当局者はみている。解任された高官らが反発していた当事者であったかは明らかではない。

韓国聯合ニュースが情報当局者の話として伝えたところによると、国防トップにあたる人民武力相は朴永植(パク・ヨンシク)氏から努光鉄(ノ・グァンチョル)人民武力省第1次官に交代し、李明秀(リ・ミョンス)氏が務めていた軍総参謀長には李永吉(リ・ヨンギル)前総参謀部第1副総参謀長が返り咲いた。

国内最高位のポストの1つである軍総政治局長には、金正角(キム・ジョンガク)氏に代わって平壌市党委員長だった金秀吉(キム・スギル)氏が就任すると、北朝鮮メディアはこれより先に伝えていた。

これら人事刷新が12日にシンガポールで開催される米朝首脳会談を目前にしてまとめて行われたことは衝撃的である。

金委員長が、核政策に固執する年配の高官を、同首脳会談後にいかなる変化が起きても従う忠誠心の強い「イエスマン」とすげ替えていると一部の専門家は指摘する。

「米朝首脳会談では非核化に向けたロードマップが示されることになる。そうなれば金(正恩)氏にとって、核プログラムの放棄に激高しかねないタカ派を軍の要職に置いておくことは厄介なだけだ」と、韓国のシンクタンク、世宗(セジョン)研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)上級研究員は語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

グーグルマップ、「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に変

ワールド

サウジ、外国人投資規制を緩和 2大聖地に不動産持つ

ビジネス

ESGファンドへの資金流入、2024年は半減=モー

ワールド

トランプ米大統領、国境警備予算の増額を議会に要請
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 2
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 3
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」で記録された「生々しい攻防」の様子をウクライナ特殊作戦軍が公開
  • 4
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 5
    オーストラリアの砂浜に「謎の球体」が大量に流れ着…
  • 6
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 7
    日本や韓国には「まだ」並ばない!...人口減少と超高…
  • 8
    「これは無理」「消防署に電話を」出入口にのさばる…
  • 9
    不動産危機・中国の次のリスクはZ世代の節約志向...…
  • 10
    ネコも食べない食害魚は「おいしく」人間が食べる...…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵を「いとも簡単に」爆撃する残虐映像をウクライナが公開
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ…
  • 5
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 6
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 7
    いま金の価格が上がり続ける不思議
  • 8
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 9
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピ…
  • 10
    軍艦島の「炭鉱夫は家賃ゼロで給与は約4倍」 それでも…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 6
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 7
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中