観光収入より環境保護を選んだタイ マヤビーチ閉鎖に見る東南アジアの苦悩
インド洋大津波の被害も
2004年にはスマトラ沖で発生したスマトラ沖地震によるインド洋大津波でプーケットと並んでピピドン島も大きな被害を受けた。特にトンサイ湾とロ・ダラム湾に挟まれたホテルや飲食店が密集する地区を中心に津波の被害を受け、約2000人が同島だけで死亡・行方不明になっている。
しかし観光産業が主産業であることから津波被害からの復興も早く、再び多くの観光客が押し寄せる活況を呈していた。
タイ政府天然資源環境省の国立公園野生動物局では、マヤビーチの閉鎖期間中に破壊されたり荒れたりした海底のサンゴ、海洋生物の回復に専念するとしている。
6月1日には当局がマヤビーチのある湾内などに長いブイを設置。ボートなどが不法にビーチに侵入できない措置が講じられた。
タイ政府では9月末日までの閉鎖期間終了後は、新たにピピレ島への観光客の流入制限を実施する方針を示している。1日約2000人に限定し、登録もe-ticket(電子入域証)のような事前登録制度の導入も検討しているという。
フィリピン・ボラカイ島も閉鎖
観光客による環境破壊が原因で観光地を一時的に閉鎖する例はフィリピンでも起きている。フィリピン中部シブヤン海の小島ボラカイ島は今年4月26日にドゥテルテ大統領の指示で観光客の立ち入りを最大で6カ月間禁止する措置に踏み切った。
同島の海岸沿いには違法建築の宿泊施設を含め多くのホテルが林立、排水設備の整備が追い付かず下水などが直接海に排水として流されていた結果海洋汚染が深刻化していた。
ドゥテルテ大統領は2月にボラカイ島を「まるで汚水溜めの様だ」と酷評、対応策を至急講じる必要性を明らかにしていた。ボラカイ島には空港のある隣のパナイ島から海路で渡るしか方法がないため、パナイ島沿岸地区には検問所が設けられ観光客の不法侵入に目を光らせている。
その一方で当局による違法建築物の撤去と排水設備の整備が現在進められており、その進捗状況では閉鎖期間の短縮もありうるとしている。