最新記事

災害

襲い来る溶岩流 グアテマラ・フエゴ山の噴火、死者65名に増える

2018年6月5日(火)10時46分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

噴火から逃げる途中、火山灰に転ぶ警察官。REUTERS

<中米グアテマラのフエゴ山が現地時間の3日に噴火。少なくとも65人が死亡、300人が負傷、3000人以上が避難する大惨事となった──>

グアテマラのフエゴ山が3日噴火し、流れ出した溶岩が近くのエルロデオ村などを襲った災害。救助活動が進むにつれ犠牲者の数が増え、少なくとも65人が死亡、300人以上が負傷した。現地の対策本部は「まだ正確な行方不明者の数を把握できず、死者がさらに増える可能性がある」と明らかにした。ロイターや現地メディアが伝えた。

グアテマラ政府によると直接・間接の被害を受けるのは170万人以上と予想される。現在避難した住民は3265人にのぼり、このうち1711人はまだ避難所に泊まっている。現地メディアは被災者救援のための募金を呼びかけている。

今回の爆発では火山灰が海抜10,000メートルまで上昇、44キロ離れたところまで降り注いだ。また溶岩は火口から8キロ先まで流れ、その影響は少なくとも5つの州にまたがるとみられている。フエゴ山は首都グアテマラシティまでわずか40キロという距離にあるため、アルラ国際空港も火山灰のために閉鎖された。モラレス大統領は「少なくとも3つの地域が完全に荒廃した」と語った。

6年前にも噴火、3万人が避難した活火山

今回の噴火したフエゴ山は、標高3763メートルの高さを誇る南米でも指折りの巨大火山。名前の「フエゴ」とは、スペイン語で「火」のこと。日本の富士山と同様、何度も噴火を繰り返して固まった溶岩と火山灰によって形成される"成層火山"で、周期的に活動を繰り返しており、2012年9月にも噴火し周辺の住民33,000人が避難した。

現地メディアは溶岩流が民家を飲み込み、高速道路を破壊する様子などを伝えている。20人の犠牲者は、この溶岩流の速さのために逃げる間もなく家の中に閉じ込められてそのまま命を落としたという。

今回の災害に対して国際社会は支援を約束した。国境を接するメキシコ大統領は「メキシコは火山爆発で人命を失ったグアテマラ国民とモラレス大統領に哀悼を送る」と語り支援の用意を伝えた。またホンジュラス大統領は救急隊員の支援と移動式の避難所の提供を伝えたという。国連もさらなる被害を防止するために支援の検討を明らかにした。

イスラエルも現地大使館を通じて救援用品を支援することを決めた。グアテマラは米国に続いて駐イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移し、イスラエルとの関係を深めていた。

※情報を更新しました。


グアテマラのフエゴ山が噴火し、溶岩流が人びとを襲った Prensa Libre tv / YouTube

ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中