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ノルウェー永久凍土の「種子の方舟」が、人類を滅亡から救う?

2018年5月30日(水)17時00分
アリストス・ジョージャウ

「永久凍土の下に貯蔵庫を造る最大の狙いは、温暖化の影響を避けることにある」と、農業・食糧省の委託で調査を行ったノルウェー政府公共建設・不動産管理部門の広報担当者は述べている。しかし「気候変動が進めば、永久凍土が縮小する」。

それに備えて、新しい冷凍設備と緊急用発電設備の導入などが予定されている。また、気候変動により氷河が溶け出したり、降雨量が増えたりすることへの対策として防水壁も設置された。

莫大な改修資金をつぎ込むことを疑問に思うかもしれないが、この施設は早くも威力を発揮している。15年には、ここに保管されていた種子が初めて活用された。シリアの乾燥地帯に適した小麦や大麦などの種子が提供されたのである。シリア国内の種子バンクは、内戦で大きなダメージを負っていた。

現時点では、スバールバル世界種子貯蔵庫の3つの貯蔵室のうち、まだ1つしか稼働していない。今後さらに、450万点のサンプルが保管可能。空いているスペースはたっぷりある。

[2018年5月29日号掲載]

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