世界中の海岸を襲うクラゲに、科学者達が立ち上がった
MASSIVE INVASION of BABY JELLYFISH-Youtube
原子力発電所や養殖場など、億単位の被害も
日本では、エチゼンクラゲの大量発生が数年前から深刻な問題となっている。しかしクラゲの種類は違えども、大発生とそれに伴う経済的な被害は地球規模の問題のようだ。そしてそんなクラゲをなんとか商用利用できないかと、模索する科学者もいる。
クラゲの大量発生は、世界各地で深刻な被害を引き起こしている。日本やスコットランド、イスラエル、米国フロリダ、スウェーデンなどの原子力発電所で、大量に発生したクラゲが取水口に詰まり、運転の一時停止を余儀なくされたと、これまで何度も複数のメディアで報じられてきた。
また、BBCによると北アイルランドでは2007年、猛毒を持つオキクラゲが大量発生して、アイルランド唯一のサケ養殖場で10万尾以上が死滅。100万ポンド(約1.5億円)の被害を出した。
BBCは2012年、「最も異常なクラゲの大量発生」の事例として日本でのエチゼンクラゲ被害を挙げ、「重さ220キロ、直径2メートルにもなる冷蔵庫サイズ」のクラゲが日本海に大量発生して、漁業で数十億円の被害を出していると伝えていた。
一方ガーディアンは2013年、1平方メートルあたり30〜40匹のオキクラゲが数キロにわたって、地中海の海岸を覆い尽くしたと伝えていた。地中海沿岸ではこの他にも、サルデーニャ島やシチリア島、地中海東側のイスラエルやレバノンなど広い地域で打撃を受けているという。
今年5月5日にも、マルタ島の東海岸一面が「紫色のカーペットのよう」になるほどオキクラゲが大量発生した。マルタ・インディペンデント紙によると、通常は5月下旬から6月上旬に発生することが多いらしい。
捨てるクラゲ、お金を生まないだろうか?
そんなクラゲをなんとか商用利用して利益を生めないかというプロジェクトが、今年1月にヨーロッパで始動した。8カ国、15の組織から集まった科学者40人強が、「GoJelly」(ゴージェリー)というプロジェクトを立ち上げたのだ。
ドイツのキールにあるGEOMARヘルムホルツ海洋研究センターを拠点とし、欧州連合から4年間で600万ユーロ(約7.8億円)の資金提供を受け、クラゲを活用できる商品の開発を目指す。
米月刊誌ポピュラー・サイエンス(電子版)によると、ゴージェリーが目指しているのは、通常なら漁師の網にかかってそのまま捨てられてしまうクラゲを、人が自ら捕まえてきて売りたくなるような、利益を生む商品を開発することだ。そうした人たちからゴージェリーがクラゲを買い上げ、再利用するのが目標だ。