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朝鮮半島

統一は「かなわぬ夢」? 南北朝鮮がドイツになれない理由

2018年5月7日(月)10時32分


つまづき

両国は、開城(ケソン)工業団地のような小規模の協力でさえ、問題にぶつかってきた。北朝鮮の核兵器開発を巡る緊張が高まる中、2016年に閉鎖されるまで、この工業団地では両国の労働者が共に働いていた。

最近では、両国は離散家族の連絡事業再開で合意には至らなかった。

不信感は根強い。朝鮮半島を支配するための長期計画の一環として、北朝鮮の指導者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は核兵器を開発したと、一部の韓国人と米国人は信じ続けている。一方の北朝鮮は、韓国の駐留米軍について、金氏の転覆を狙った侵略部隊だと懸念している。

1990年に東西ドイツが統一したとき、朝鮮半島のモデルになることを期待する向きもあった。

だが、東西ドイツの場合は内戦を経験しておらず、東ドイツは北朝鮮と比べて国民に対する統制がはるかに弱かったと、元韓国統一省の当局者は2016年のリポートで指摘した。

最も大きな障害は、金正恩氏自身かもしれない。平和的な統一に必要な妥協を受け入れる動機が、同氏にはほとんどないと専門家は言う。韓国も、同氏に実権を許すような取り決めに合意する可能性は低い。

北朝鮮を独立国として、また米同盟国である韓国との間の緩衝地帯として維持することに、中国も既得権を有している。

長期的に見れば、完全な統一を強硬に求めることを放棄すれば、両国は関係を修復できる可能性があると、朝鮮半島情勢について複数の著書があるマイケル・ブリーン氏は指摘する。

「矛盾しているようだが、統一はある種、ロマンチックで、健全で、民族主義的な夢として考えられている」と同氏は言う。「だが実際には、問題の多くはそこから生じている」

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

[ロイター]


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