最新記事

核廃棄

北朝鮮が破棄約束したプンゲリ核実験場、すでに「使用不能」か

2018年5月4日(金)11時05分

核クラブ

北朝鮮側は21日に行った発表で、北朝鮮はすでに兵器開発の目標を達成したため、もはや核実験を行う必要がないとした。

事実上、完全な核保有国になったという宣言だと、専門家はみている。

「誰が実験を必要とするか。新規参入者だけだ」と、前出のポラック氏は語る。「(実験は)技術的に不完全であることの証左になる。北朝鮮が送りたいメッセージではないだろう」

豊渓里の現状が不明なことに加え、北朝鮮が透明性を約束していることからも、トランプ大統領は金委員長との会談で査察の受け入れを迫るだろうと専門家は予想する。

「米側が確認しようとすることの中でも、最も重要な点の1つだ」と、ケリー氏は言う。

IAEAは、これまで寧辺(ヨンビョン)の核施設の査察は実施したが、豊渓里の実験場を査察したことはなく、「ひとたび政治的合意が交わされれば、同国での査察活動を再開する」ことで「貢献する用意はできている」との声明を出している。

米国は、国防総省傘下の国防脅威削減局による査察の実施を求める可能性があると、ケリー氏は話す。だが北朝鮮は、もし査察を受け入れるにしても、米国組織ではなく国際組織を好む可能性が高いという。

どの組織が担当するにせよ、もし現地査察が認められれば、査察官はトンネル内に入るか、ロボットを送り込んで内部の状態を調べるとみられる。また上部から地層を貫通するレーダーを使う可能性もあると、ケリー氏は話す。

ミドルベリー国際大学院のジェフリー・ルイス氏は、北朝鮮がそこまでの査察を認める可能性は低いと予想。また、北朝鮮は豊渓里の実験場を、破壊せず、単に閉鎖するにとどめるのではないかと語る。

「これらはトンネルであって、(寧辺で破壊された冷却塔のような)塔ではない。仮に北朝鮮が最大限の譲歩をするとみせかけて、トンネル閉鎖を演出しても、無意味だ。再び封印を解けばいいだけの話だ」と同氏は指摘した。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)



Malcolm Foster and Josh Smith
[ソウル 26日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ停戦が発効、人質名簿巡る混乱で遅延 15カ月に

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明らかに【最新研究】
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    身元特定を避け「顔の近くに手榴弾を...」北朝鮮兵士…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 7
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中