最新記事

医療

【悲報】A型は他の血液型より下痢になりやすいことが判明

2018年5月31日(木)18時30分
松丸さとみ

A型の人は「旅行者下痢症」になりやすい artist-unlimited-iStock

A型の人だけに見られる血液細胞の「取っ手」

血液型がA型の人といえばどんなイメージがあるだろうか? 几帳面、まじめ、などいろいろあるが、科学的な根拠には乏しい。しかしこのほど、科学的に裏付けされたA型の人の特徴が明らかになった。他の血液型と比べ、「旅行者下痢症」にかかりやすいとうことだ。

米セントルイス・ワシントン大学医学部の研究者が率いるチームが実験を行い、米科学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーションに結果を発表した。

米科学誌サイエンス・ニュース(電子版)によると、A型の血液細胞には、他の血液型には見られない糖分子が付いている。そしてA型の人の腸は、その糖分子で覆われている。病原性大腸菌はタンパク質を分泌するのだが、このタンパク質がA型の血液細胞のこの糖分子を取っ手のように使ってつかまり、下痢を起こさせる毒素を注入するのだという。

これまでも、大腸菌感染症が重症化する度合いは血液型が関連しているのではないかと見られていたが、今回の実験で、関連性がはっきりしたことになる。

なお「旅行者下痢症」とは、発展途上国など、衛生状態がよくない旅行先で下痢に見舞われるものだ。デジタル医学事典「MSD マニュアル」によると旅行者下痢症は、下痢だけでなく腹部けいれん、吐き気、嘔吐などの症状が出ることもある。

A型またはAB型の8割強が下痢を発症

実験は、ジョンズ・ホプキンズ大学にて行われた。実験に自発的に参加した健康的な成人106人に対し、大腸菌株を含んだ水を与えた。この大腸菌株は、バングラデシュでひどい下痢に見舞われた人から採取したものだ。

5日以内に、血液型A型またはAB型の人たちのグループでは、81%が中程度から重度の下痢になってしまった。一方で、血液型O型かB型のグループで下痢になった人の割合は、約半分だった。なお、実験参加者は後日、大腸菌株を除去するために抗生物質を投与されたという。

今回の実験から、細菌性タンパク質に働きかけるワクチンを投与することで、病原性大腸菌を原因とする下痢を予防できる可能性があることがわかった。細菌性タンパク質は、多くの大腸菌株に見られるという。

サイエンス・ニュースは、このようなワクチンは発展途上国など衛生状態のよくない場所に旅する人だけでなく、その土地で暮らす子供の助けにもなる、と伝えている。というのも、度重なる下痢が、栄養失調や成長不良の原因になりえるからだ。

ただし、サイエンス・ニュースはまた、下痢を引き起こすのは大腸菌だけではないとも指摘しており、手洗いをすること、水を浄化すること、が最も効果的な下痢の予防法だとしている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

イスラエルがシリア攻撃強化、暫定政権に警告 トルコ

ワールド

ハンガリー、ICC脱退を表明 ネタニヤフ氏訪問受け

ワールド

ミャンマー地震、死者3000人超える、猛暑と雨で感

ビジネス

サントリーなど日本企業、米関税に対応へ 「インパク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中