最新記事

中国

14億人を格付けする中国の「社会信用システム」本格始動へ準備

2018年5月2日(水)17時20分
クリスティーナ・チャオ

中国政府はこのシステムの目的は、より信頼のおける、調和のとれた社会を推進することだと主張する。だが、この制度は市場や政治行動をコントロールするための新しいツールにすぎないという批判の声もある。

人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの上級研究員マヤ・ワンは、「社会信用システムは、善行を奨励し、悪行を処罰するために習政権が実施する、完全支配のシステムだ。それも進化する」と本誌に語った。「制度が成熟すると共に、逆らう者への処罰はひどくなるだろう」

社会信用システム構想発表時の文書によれば、政府は2020年までに最終的なシステムの導入をめざしている。

国家的なシステムはまだ設計段階にあり、実現の途上にあるが、地方自治体は、市民に対する様々な方法を試すために、独自のパイロット版を立ち上げている。中国最大の都市上海では、親の世話を怠る、駐車違反をする、結婚の登録の際に経歴を偽る、列車の切符を転売するといった行為は、個人の「信用スコア」の低下につながりかねない。

民間企業も類似システムを開発

中国南東部の蘇州は、市民を0から200までのポイントで評価するシステムを採用。参加者は全員100の持ち点から始める。警察によれば、2016年に最も模範的だった市民は、献血を1リットル、500時間以上のボランティアを行って、最高の134ポイントを獲得したという。ポイント数に応じて、公共交通機関の割引や病院で優先的に診察してもらえるなどの特典が与えられる。

蘇州当局は、次の段階として、運賃のごまかしやレストランの予約の無断キャンセル、ゲームの不正行為といった軽犯罪に対してもこのシステムを拡大し、市民を処罰する可能性があると警告した。

中国の電子商取引企業も顧客の人物像を把握するために、顔認証などの高度な技術を使って、似たような試験プログラムを実施している。政府は、社会信用システムの開発にむけて民間企業8社にライセンス供与している。

中国最大手IT企業・アリババ系列の芝麻信用(セサミ・クレジット)は、ユーザーの契約上の義務を達成する能力や信用履歴、個人の性格、行動や嗜好、対人関係という5つの指標に基づいて、350から950の信用スコアを割り当てている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米関税で市場に動揺、貿易戦争・景気後退を懸念 「最

ワールド

訂正(3月31日配信の記事)-トランプ大統領、3期

ワールド

トランプ氏が相互関税発表、日本は24% 全ての国に

ビジネス

訂正米自動車関税、年数千億ドル相当が対象 車載コン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中