市場開放進める中南米の産油国 石油メジャーの投資呼び込む競争激化
好条件
外資誘致に向けた中南米諸国の政策措置には、税制優遇やロイヤルティ引き下げ、契約長期化、投資撤退を今までより容易にする各種条件や履行義務の緩和などが含まれる。
ブラジルとコロンビアは、米国のように開発・生産の権益を恒久的に提供する仕組みも導入。エクアドルは、原油価格上昇の恩恵を得られない「フィー・フォー・サービス」方式よりも石油会社にとって魅力がある利益分有契約を結ぶことを提案している。
ウッド・マッケンジーのグローバル開発調査ディレクター、ジュリー・ウィルソン氏は、入札参加を促すために各国は十分に魅力的な条件を提示しなければならないと説明した。
ただ最近のメキシコとブラジルの入札では、合計でおよそ1100億ドル相当もの応募があり、中南米の石油開発に新時代が訪れていることを物語る。
ブラジルは実は20年前から外資の取り込みを画策していたが、開放鉱区が少なすぎたことや、一部プロジェクトの質の低さ、ペトロブラスの権限が圧倒的な点などが障害となり、期待された成果が出なかった。このため現在は入札ルールを緩和し、地元企業や中小の外資に参加資格を与え、サブソルト層開発で一定の基盤を築いている大手に合流することを奨励している。
メキシコの場合は、7月の大統領選に向けて足元で支持率がトップの野党候補がエネルギー市場開放見直しを公約に掲げており、政治リスクが高まった。
それでも何人かの業界首脳は、メキシコが開発から精製、小売りに至るエネルギー市場の全部門を開放する方針は変わらないと考えている。複数の入札には米国や欧州、アジアから幅広い企業の参加が見られ、メキシコ市場の再生が改めて示されたとの声も聞かれる。
各国がお互いの取り組みを模倣し合っている状況も見られる。アルゼンチンは、石油企業が入札を希望する鉱区を具体的に推薦できるというメキシコが過去に導入した制度を採用。メキシコはブラジルにならって、向こう3年の入札日程を定め、石油会社が投資計画を予め策定する時間を増やせるようにしている。
メキシコ国家炭化水素委員会のセペダ委員長は、一部の国は他国と競争するために政策の調整が不可欠だと認識していると指摘。「われわれは近隣諸国の創造性を受け入れられる十分な柔軟性を備えている」と述べた。
(Marianna Parraga記者)
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