戦略なき欧米諸国の対ロシア包囲網
一方で、ロシア政府の財政に直接、打撃を与えることもできるだろう。経済の低迷で財政難に陥ったロシアは欧米諸国に多額の対外債務を抱えており、そこを攻めれば、政権に対する深刻な攻撃になる。
これら3つのアプローチには利点も危険もある。ロシアの汚れたカネを、プーチン支配の弱体化を名目に見逃すことは最も有害でリスクも高い。だが、権謀術数をめぐらす策略家たちは好みそうだ。
ロシアの泥棒政治の影響をイギリスから排除することは称賛に値し、迅速に実現するべきだが、将来の抑止力にはほとんどつながらない。同じように、プーチンに対する政治的報復をエスカレートさせても、さらに激しい反撃を浴びることは間違いなさそうだ。
とにかく、まずは戦略的な目的を明確に固めることだ。イギリスに「できること」を考えてから継ぎはぎの戦略を当てはめるのではなく、最終的な目標を決めて、それを基にプロセスを進めていくことが肝要だ。
<本誌2018年4月10日号掲載>
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら