最新記事

ビジネスマン

トランプ、武器輸出増狙いセールス活動 「バイ・アメリカン」の内幕

2018年4月21日(土)12時26分


政府一丸

このイニシアチブは何カ月もかけて準備され、内容の一部はすでに報道されている。だが発表が近づく中、10人以上の業界筋や現旧米当局者に対するロイターの取材によって、最も完全な全体像が浮かび上がってきた。ただし、直前での変更は今なおあり得るとしている。

この政策は、海外向けの武器売却により、さらに数十億ドル獲得するために、大統領や閣僚から大使館付き武官や外交官に至るまで「政府一丸」となって後押しすることを求めるものだと米当局者は話す。

さらには面倒な手続きを簡略化し、協定を結んでいる同盟国の日本や韓国だけでなく、北大西洋条約機構(NATO)加盟国やサウジアラビア、その他の湾岸同盟諸国向けの広範囲な武器売却において、契約承認を早めることを求めている。詳細の多くは機密扱いになるという。

最も恩恵を受ける企業には、ボーイングのほか、防衛機器大手ロッキード・マーチン、レイセオン、ジェネラル・ダイナミクス、ノースロップ・グラマンが含まれる。これらすべての企業株価は、昨年1月のトランプ政権誕生以来、上昇率が2桁に上っており、ボーイングの株価は2倍に膨らんでいる。

トランプ大統領の側近はまた、フランスやイスラエルがしているように、米国製兵器を売り込むため、マティス国防長官やロス商務長官ら閣僚を含む政府高官に、主要な国際兵器見本市にもっと出席してほしいと考えている。

「パリの航空ショーに行けば、フランスの外相がエアバスのパビリオンの前に立っている。われわれは後塵を拝している。やり方を変えなければ」と、ある米高官は語った。

また複数の当局者によれば、幅広い武器輸出を可能とするイニシアチブに加え、トランプ大統領は軍用ドローンの輸出規制を緩和する別の文書にも署名するとみられる。軍用ドローンは外国政府の買い物リストの常連だという。

米国防総省傘下の国防安全保障協力局(DSCA)によれば、昨年の対外有償軍事援助(FMS)は総額420億ドル。米国にとって最大の競合相手であるロシアからの輸出は通常、米国の規模の半分程度だと専門家は指摘する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独ZEW景気期待指数、1月は10.3 予想以上に低

ビジネス

トランプ米政権の政策、銀行は影響を分析 混乱から利

ビジネス

台湾輸出受注、12月20.8%増と3年ぶり伸び率 

ビジネス

ビットコインなど高値から後退、トランプ氏就任初日の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブー…
  • 5
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    台湾侵攻にうってつけのバージ(艀)建造が露見、「…
  • 10
    身元特定を避け「顔の近くに手榴弾を...」北朝鮮兵士…
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中