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韓国事情

韓国で後を絶たないパワハラ事件 SNSでさらに表面化

2018年4月20日(金)15時10分
佐々木和義

雇用主によるものが最も多く、客、上司と続いている。住民のいじめでアパート警備員が自殺し、百貨店利用客が駐車場係りを跪かせた例もあるなど、パワハラを受けて鬱になる人は多く、鬱対策を福利厚生に取り組んでいる企業は少なくない。

深刻なパワハラは上下関係を重視する慣行に起因すると言われる。財閥など企業オーナーの一族は組織で絶対的な権限を持ち、役職者は自分より肩書きが低い社員に権限を振りかざす。組織の外でも住んでいる場所や部屋の広さを持ち出して上下を意識させることすらある。

「乙」の反乱

「甲」が権限を振りかざし、「乙」は甲の顔色を伺うという傾向は、「ナッツ・リターン事件」をきっかけに変わりつつある。

航空法上で乗客にすぎない副社長には飛行機を引き返す権限はなく、大韓航空は当初、機内サービスの責任を担う副社長の指摘で、権限を持つ機長が判断したと説明していた。

甲のわがままに黙って従う方が、社員のリスクは小さい。国土部の調査担当は大韓航空の出身者で構成され、天下り先ともなる大韓航空の言い分を鵜呑みにする形式的な調査で終わるはずだったが、事実がSNSで広がり、世論の声を受けた調査委員会は綿密な調査を行なった。

南陽乳業のパワハラでも暴言を吐いた音声がSNSで公開され、不買運動が起きたことから金雄(キム・ウン)社長が謝罪会見を行っている。

権威的な社会構造に馴染みきっている訳ではない20代、30代がSNSで声を上げるようになり、世論を意識する国会は法律を改正、公正取引委員会や警察はパワハラを厳しく取り締まるようになった。

「甲」「乙」の振る舞いが深く浸透していた韓国社会が変わりつつあるのだ。一方で、SNSで拡散されると真偽に関係なく悪徳企業のイメージが広がりかねない懸念があり、行き過ぎた乙の反乱を警戒する声もではじめている。

Executive's Tantrums / KBS뉴스(News)

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